2009年7月アーカイブ
G特派員からの写真は、宮崎の「日之影温泉駅」です。駅とは言っても、すでに路線が廃止されていますので、線路のあった場所はすでに草が生えていて、鉄道が走っていたころの美しく整備された様子は見るべくもありません。
4年前の9月、台風の影響で増水した川にのまれ、駅は甚大な被害を受けました。その爪痕はこの駅にとどまらず、高千穂鉄道を寸断させ、結局は廃止に追い込んだのです。
もともと高千穂鉄道は国鉄時代、神話の里として知られる高千穂まで開業した路線で、あと23キロ西へ延ばせば、熊本から東に延びる高森線とつながるはずでした。実際の工事も進められましたが、トンネルの出水事故を発端に、国鉄の財政難もありそのまま工事は凍結。行き止まりのまま第3セクターに引き継がれた路線です。
日本一高い鉄道橋として知られた高千穂橋梁など名所も多く、風光明媚な路線でしたので、一度乗ってみたかったのですが…。
地元では、まずは「鉄道記念公園」の指定を受け「遊具」として車両を運行し、路線復活を目指す動きも始動しています。たいへんな道のりではありますが、神話の国らしい追い風が吹くことを祈るばかりです。
よい子の皆さん!去年の夏に掲載した「#188 貫通」に続く「貫通」ネタですよ!去年、「みんなの街や近くの都市にも面白い建造物、あるはずです。来年はぜひ探訪してみて」と書きましたので、今年も責任をもって探してみました。それがこちら。
香港の繁華街にある「道路貫通物件」であります。地下鉄の「油麻地」駅南側、漁民の神様として親しまれる天后廟のすぐ近くを東西に走る「加士居道」が、大きなビルのど真ん中を貫いています。世界にはあるものですねえ…。同じような物件が。
よく見ると、ビルの1階に行列ができています。子供たちもその列に交じっているのですが…。看板を見ると、どうもこの建物、図書館なんですね。国際規格の大きなコンテナを乗せたトラックが、ぶんぶんと走るその下に、図書館があるなんて。けっこうな交通量でしたから、その都度揺れたりしないのかしらん?音は響かないのかな?この密度の濃さが香港のパワー!?などといらぬ詮索をしてしまいました。
この物件のすぐちかくには、翡翠(ひすい)を中心とした玉器市場もあります。翡翠の粒を色とりどりのストラップが縦横無尽に「貫通」した、素敵なアクセサリーを安価で販売。女性はそちらへどうぞ。
どんな車に乗るにしても、「環境」のことを置き去りにはできない昨今。誰が乗っても好燃費を記録するハイブリッドカーが注目されています。しかししかし!今回注目するのはこの足!
この足、日産のテストドライバー、渕上夏次さんの右足です。渕上さんは社内の燃費コンテストでダントツの優勝をおさめた「燃費の達人」。ふつうのガソリン車で、某ハイブリッドカーを上回る記録を出したこともある(!)そうで。今回は公道に赤い「ティーダ」を繰り出して、助手席にてその極意を教わりました。
走り出して感じるのは、とにかく繊細なアクセルワーク。「ふんわりアクセル」と名付けたその足さばきはじつにスムース。走り出しからずっと、無駄にエンジンを吹かすことが決してありません。そして、信号の手前では自車の速度を見ながら最適のタイミングでアクセルから足を離します。前方の信号が黄色・赤に変わったのが見えれば、早めにスピードを落としても、後続車も減速の理由を理解するはず、とのこと。確かに。そして、その道の制限速度と青信号には連関があるそうで、飛ばしすぎても結局は赤信号につっかえるだけ、なんだそうです。へえ…。
そんな達人の指導を受けたあとに同じコースを運転した私もがんばりました。この日は真夏日でしたが、特別な小細工なし。エアコンもきちんと作動しての運転でしたが、1リッターあたり16.2km。巡航中にちょっとアクセルを戻しすぎて速度が落ち、また踏み足したりしましたが、大満足の結果です。その時点でのエコドライビングコンテストでトップ5に入りました。山下光彦副社長(写真中)にもお褒めの言葉を頂戴して恐縮…。
ほかの皆さんの成績を見ても、ティーダの基本的な燃費性能が良いことがわかります。そのうえで自分自身が少し気をつけるだけで、普段はお目にかかれない燃費の数値が出るわけですから、エコって決して難しいことじゃないんですね。
日産のフラッグシップ、といえば泣く子も黙る「GT-R」であることに、もはや世界中の自動車関係者が疑問をさしはさむ余地はありません。で、今回はそのGT-Rの性能をさらに磨きあげた「GT-R Spec-V」も試乗しました。マルチパフォーマンス・スーパーカーを標榜してきたGT-Rの扱いやすさは変わらず、その限界はさらなる突き抜けぶりを発揮(私はもちろんその限界には遠く及ばない範囲の運転技量しかありませんが)。これはわれわれの知る通常の車とは別の次元にある感じがします。もっとも、お値段も1575万円ですから、次元が違うというのももっとも。いま気づきましたが、私がこれまで運転した中で最高額の車です。テストコースだけに、公道では不可能なドライビングを楽しみましたが、ちょっと値段のことを考えるとドキドキします。
いっぽうフルモデルチェンジをしたばかりの「Z」に乗ってみると、自分の知る次元の延長にあるのかな?と思ったりします。ああこっちはもしかしたら馴染むことができるかも、と思い込めるような気もいたしました。実際にはこれとてきわめてハイレベルなスポーツカー。奥深さは私の運転技量などでは到底及ばぬ世界なんですけど。
エコ・低価格が最優先される自動車界にあって、こういう「スーパー」な車、「スポーツ」しちゃう車というのは肩身が狭い時節。しかるにこの種の車無くしては、あらゆる面での進化もあり得ないのです。決して数の売れる車ではありませんが、各メーカーにはぜひとも理想を追求してほしいですね。
去年に続き、日産のテストコース「GRANDRIVE」で行われたメディア向け試乗会にお邪魔しました。 大学では自動車部で鳴らしたO君は2回目の参加。そしてリアルタイムのデスク陣では屈指の乗りもの好き、N君も満を持して会場の追浜に馳せ参じました。で、さっそくうっとりしているのは(寝ているわけじゃありません)、BOSE社のカーオーディオに聴き惚れているから。 しかもこの車、
夏に発売予定の「スカイライン・クロスオーバー」です。
自動車のトレンドって面白いですよね。25年ほど前には2ドアのクーペ、いわゆるデートカーが。そして国産の四駆がとんでもなく売れした時期があり、ワゴンの全盛、そして90年代後半からはいわゆる「ミニバン」がファミリーカーの主流に躍り出ました。で、最近のトレンドは、背の高めのはずのSUVと、背の低いセダン・ワゴン・あるいはクーペの融合です。スカイライン・クロスオーバーはまさにそれ。
日本で乗るのに大きすぎない(でもユーティリティのある)サイズ、しなやかで軽やかな動力性能、それを両立していました。「スカイライン」の看板に恥じない一台。運転しても、助手席に乗っても、「あー、このまま遠出しちゃいたい」と思いました。
でもそのまま遠出しちゃうと試乗会が堪能できないので、ぐっとこらえて次の一台へ。
JR有楽町駅の改札を出ようとした時にふと見上げた案内板です。銀座口の改札ですが。「有楽町マリオン」。ふむふむ。すぐ近くだ。「東京交通会館」。そうね、線路の横に建っていますね。…「歌舞伎座」。え?歌舞伎座、ですか。
このコラムをお読みの皆さんは当然パソコンをお使いでしょうから、東京都心の土地カンの無い方、地図サイトを見てみてください。有楽町駅と歌舞伎座の距離は…。絶対的な距離はそう遠くないのですが、東京都民の感覚でいうと、歩くにはけっこうあるでしょう?
これがほかに競合する路線のない地方の駅ですと、その駅の周辺の施設や名所旧跡がすべて案内板に書かれるのも確かに仕方ありません。たとえ駅から数キロ先の物件だって、ほかに「最寄駅」が無いんですから。でも東京都心はきわめて密に、いくつもの路線が交錯しています。
歌舞伎座の最寄駅というと、東京メトロ日比谷線と、都営浅草線の東銀座駅、がドンピシャ。有楽町駅からてくてく歌舞伎座に向かうお客さんて、どれぐらいいるのでしょうか…?確かに「JRの駅としては」有楽町駅が最寄り駅ではありますが。
もしや、ほかの駅の案内板でも同様に「そこに行くにはほかの路線のほうが…」という例、あるのでしょうか。俄然気になってきました。しばらく注視してみましょう。
と言っても大学生のサークルのことじゃありません。この電気機関車のこと。その名も「EF81」であります。
その道の趣味のない方にとってはどうでもいいことでしょうが、ひと口に電気機関車といっても、走れる路線に制約があります。なぜなら日本の電化路線はその「電化方式」が地域によって異なるから。具体的には、「直流」の電気を使っている路線、「交流」の電気を使っている路線にまず分けられます。さらに「交流」も、東日本の周波数は50ヘルツ、西日本は60ヘルツですので、都合3種類の方式が混在しているのです。
かつてはそれぞれ専用の機関車が作られ、電化方式の異なる境目の駅で機関車を付け替えたのですが、そういう手間を省いてくれたオールラウンダーが、このEF81。どの方式でも対応できる機器を積んで、境目のところで切り替えることでスルー運転ができるようになりました。オールラウンドのサークルに例えるなら、午前中テニスでナイスショットを放ち、そのまま午後はマリンスポーツ、夜はパーティーも上手に盛り上げるナイスガイ、みたいなもんでしょうか?…偉いなあ。
とはいえこの機関車もデビューは1968年。もう40年が経過して、古いものは廃車が進行中。オールラウンダーの老境っていう感じです。芸能人で言うと…あの人。ご想像にお任せしましょう。
乗りもの好きの私にとって、心躍る場所が一つ減りました。日産の本社ギャラリーが5月末に閉館したのです。東銀座の本社ギャラリーは1968年にオープンしたそうですから、40年以上、日産の各車をお披露目する魅惑のステージとして親しまれてきました。「乗りもノート」でも、GT-Rを取り上げた回の写真などが撮影された場所であります。
車を見るだけなら近所のディーラーでもいいじゃないか、という声もありましょう。でも。ディーラーは基本的に「販売」の場であります。純粋に「新車にふれてみたい」という気持ちだけでは、お邪魔するにはなかなか辛いものがあるのです。なにせ小心者で、「セールスの人を煩わせてはいけない」と思うもので…。「買うつもりは無いんだけど見たい」という気持ちに応えてくれるのが、こういうギャラリーなんですね。ことに日産の本社ギャラリーは日本テレビからも近いので、無くなったのは残念至極。
でも。閉館、なれども実は楽しみも。そもそも閉館の理由は横浜にできる新しい本社ビルへの移転、だからなのです。つまり。横浜に出かける楽しみは一つ増えたわけです。今度は中華街とセットで足を運びましょう。うひひ。
前回の続き。東京・丸の内から出発するスカイバス。おとな1500円(こども700円)をチケット売り場で購入して乗り込みます。高さが3.8mというドイツ製の2階建てバスは赤いボディが印象的。2階に上がると大空と街並みの双方が楽しめます。ふつうの観光バスですと窓の天地寸法で切り取られた景色だけを見るわけですが、スカイバスは左の地面から空をはさんで右の地面まで、合計180度以上のアングルが楽しめます。
しかもわざわざ並木の近く、緑の茂った枝の下を走ったり、JRのガードの下をくぐったりするので、ちょっとしたジェットコースター気分も味わえます。外の空気と一体になって走る楽しさは、その街に溶けこんでいく気分を増幅させてくれるのです。実際、このバスに乗っていると何度も道行く人から手を振られました。外から見てもバスが「密室」ではなく、自分たちと同じ空間を共有していると感じるのでしょう。この点、とくに外国人観光客が抱くTOKYOの印象を好ましいものにしてくれそう。
定期観光バスのニューカマーは、乗る人と街行く人の心も「開放」してくれるのでした。