2009年3月アーカイブ

#248 「ホバー 1」

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 念願叶って、生まれて初めての乗りものを堪能しました。大分港と大分空港を結ぶ「ホバークラフト」です「ホバークラフトに乗ったよ~」と番組スタッフに自慢したら、「ホバークラフトって何でしたっけ?」と返されがっくり…。つまりそれだけ「一般には馴染みのない乗りもの」ですから、乗った価値はある意味急上昇!わたし、前向きです。 

ホバークラフト 大分の市街から空港まではバスでもいいのですが、別府湾沿いに大回りする必要があり時間がかかります。海上を真っ直ぐハイスピードで突っ切るホバーは、この地にじつにうってつけの乗りものなのです。勇躍乗り込んだホバーは、非常にメカニカル。黒いゴムの様なスカートは空気をはらんでパンパンに張っています。そして前に進み、舵をとるためのどデカいファンが後方に鎮座。機能に徹した分かりやすい造形です。

 客室後部に左側から乗り込むと、大きな荷物を預けて席に陣取り…おっ。一番前の席が空いています。一人前の大人として若干の恥ずかしさを抱きつつ、「誰もこちらを気にしちゃいないですよね」と自分に言い聞かせ、左の最前列に腰掛けました。コックピットは客室前のど真ん中なのですが、これが、真後ろには壁があるものの、左右は腰ぐらいまでの仕切りに過ぎず、間近にパイロットの手さばきが見えます。乗りもの好きには特等席だ♪これは期待が高まりますなあ…。

ホバークラフトの運転席 わりと大きなノイズとともに、「あ…」と思う間もなく船体は浮き上がったようです。自分自身を浮き上がらせるほど、下に向けて空気を吹き付けているわけです。コンクリートの地面から斜面を下り、そのまま海の上に。うわー。なんのストレスもなく、あっというまに紛れもない海だよ。(つづく)


#247「ゴールド」

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乗りもの好きというのは、「通常と違う」ものに惹かれます。「同じ形式なのに窓の配置が違う」とか、「初期型にはヘッドライトにカバーがある」とか。まあ細かいことから大きなことまで「通常と違う」というのは実にグググッと来るんですね。今回もそんな「イレギュラー」の一枚。

ゴールドジェット.jpg飛行機です。全日空のボーイング737-700。ボーイング737は、私の好きな飛行機でありますが、中に2機だけ「通常と違う」レアものがあるんですね。色がゴールド。そのものズバリで「ゴールドジェット」というニックネームがついています。ボーイング737は、初飛行以来5000機以上が世界の空を飛んできたという大ベストセラー。しかし大幅な改良が繰り返され、初期型と最新型とはまるで中身が違います。ゴールドジェットが属する「-700」というグループは最新の世代といえるもので、この特別塗装は全日空が「-700」を導入した記念に採用されたものですって。なかなかですよね。

ゴールドジェット2.jpg

ところでこの機体、何度見ても私はまったく別のイメージを想起します。炭酸飲料「ファンタ」であります。しかも「存在する・しない論争」にまで発展した「ゴールデンアップル」味。アタマの中でのイメージでは「ファンタ・ゴールデンアップル」って、まさにこんな感じの色、塗り分けだったような気がするんですけど…。「ゴールデンアップル味は実在しない」、そう断言されると…。ああ、あれはやはり幻なのですね。ゴールデンジェットを見るたびにぐらつく私…。


#246「右側」

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 まあ当たり前のことですが。タクシーに乗り込むとき、左側のドアから乗り込むのが普通です。ところがこの「普通」が「普通」じゃない場所がありました。東京駅の丸の内口のタクシー乗り場です。私の記憶では丸の内北口、丸の内中央口のあたりの乗り場は、タクシーから見て右側に歩道がある、普通と逆の乗り場でした。「…でした」と書いているのにはワケがありまして。今、東京駅の丸の内側の駅舎は復元作業中で、作業用フェンスでぐるりと取り囲まれているのです。そのため、タクシー乗り場がどのような状況になっているか、見ていないので現況を何とも言えない私。「…でした」でお願いします。

東京駅

 この「右側乗車」というのはただそれだけのことなのに、なかなかのストレスを生みます。車が目の前に滑り込んでも、ドアは開きません。自分で開けるのです。たったこれだけのことですが、それがねえ…。人間いかに「慣れ」に甘えるかということなんですよ。まあ世界中、多くの国のタクシーには「自動ドア」がないですから、そんなの当たり前ですもんね。

 とりあえず。3月初旬の丸の内南口では「左から乗る」普通の乗り場でした。本日の写真がそれです。なんだ、そこまで行ったのなら中央口、北口も見てくるべきでした。すみません。

東京駅のタクシー乗り場

#245「桜」

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御殿場線のローカル電車

 先週の金曜日、所用で富士の裾野へ出かけてきました。平日でしたのでオンエアに間に合うように戻らねばなりません。時間が確実に読める、という理由で帰り道は電車を選びました。御殿場から御殿場線のローカル電車に乗ってガタリゴトリ…。並走する東名高速は何度も走っているのですが、その同じ谷の下のほうに、この線路は走っていたんですねえ。車窓で目を凝らすと、山から滾々と湧き出ずる清涼な清水があちこちに見受けられます。いやあ、実にいい。気持ちいい。各駅停車に乗ってよかった。山を下りゆき、駿河小山の駅に到着。…すると、左側にカラフルな保線作業用の車両が…「乗りもノート用に写真撮るか」…あ、その向こうに桜が咲いています。すこぶる立派な枝ぶり。ああ眼福。わずかな停車時間ですが、これはトクをした気分です。

桜と保線作業用の車両

 そして。花と言えば「団子」ですよね。私、どうやら大変な予知能力を持っているのかもしれません。御殿場駅でこの日の昼ごはんを買おうとしたのですが、駅前を物色する暇がなく、駅コンコースで売っていた地元物産のワゴンで買ったのが、「安倍川餅」だったのです。まるでこの桜があることを予期していたかのよう。花と団子。うっすらときな粉を塗した柔らかな餅を食べながら眺める餅。ゆっくりと単線の線路を進む電車。乗りもの好きにはたまらない時間でありました。

安倍川餅

 しかし写真は中途半端ですね。どっちつかずの構図になりました。「両方撮りたい」という欲求がこうまでハッキリ分かる1枚です。恥ずかしい。


#244「双胴」

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むかしのポリネシア。地元の人々が作った船は「カタマラン」と呼ばれる手漕ぎの双胴船でした。名前がかわいらしい響きですよね「カタマラン」。日本語の「固まらん…」を想起してしまいます。

本来は大型の船に不向きなかたちとされていましたが、軽量で水の抵抗を最小限に抑えたタイプの双胴船がいまはあるそうです。今回の写真はそこまでの最新型ではなさそうですが、絵に描いたような船体のかたちをほぼ正面からとらえてみました。

双胴.jpg

双胴船の特徴は、文字通り、胴体が2つあること。真ん中には空間があって、この間にも当然、水は流れてゆきます。かつてのカーアクション映画などでは、車高の低いスポーツカーが、大型トレーラーの下を左右にくぐり抜けてゆく、なんていうシーンがありましたが。双胴船の真ん中の空間を見ていると、このスキマを高速のボートが突っ切ってゆくシーン、思い浮かべるのであります。ブルース・ウィリスとか。アクション映画の見すぎでしょうか。それともすでにそういうシーン、どこかの映画で撮られていますかねえ。


#243「ブルトレ」

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ブルートレイン「富士」

 本日の列車をもって、東京と九州を結ぶ寝台特急「富士」「はやぶさ」が廃止されます。寝台特急というよりも
ブルートレイン」というほうが、通りがいいかもしれません。廃止が決まって東京駅は連日大混雑だそうです。いつもながら、廃止となると急に乗客も激増するのが気になりますが…。


 かつて東京と九州を結ぶ客車特急は、鉄道の花形でした。「富士」の名前は80年前に日本で初めてつけられた列車愛称のひとつ。まさに日本を代表する愛称です。一時は東京と西鹿児島まで、日本で最長距離を走る列車でした。私は「はやぶさ」も含め、九州方面への「ブルトレ」に乗ったことはありませんでしたが、今回取材で初めての乗車!しかし最後の乗車となりました。ちなみに、写真はA寝台の個室ですが、我々が乗車したのはB寝台の開放型寝台。カーテン1枚のプライベート空間でありました。

ブルートレイン B寝台の開放型寝台

 車内は、残念ながら寄る年波には勝てない、というのが正直なところ。30年近い使用で饐えたニオイがたちこめています。洗面所や共用部分のしつらえも旧態依然。スピードでは飛行機にかなうハズもなく。…廃止もムリはないか…と思わされるのも事実でした。

 最後の東京発車は18時03分。多くの人の旅に寄り添ってきた伝統有る2つの列車が廃止されます。この列車に思い出と愛着を抱く皆さまは、きっと一入の感慨があることでしょう。


#242「ちょっと恐怖」

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モノレールという乗り物は、下界を見下ろしながら空中をすいすいと走っていく点が、他にない魅力です。都市部に限る乗り物ゆえに、オフィスビルやマンションと同じような視点で縫うように走るのもその特徴。

沖縄モノレール.jpg

この魅力が少々の「おっかない気分」に転化するのが「水上を走るとき」であります。本日の写真は沖縄・那覇市のモノレールです。那覇空港に向かって壺川駅を出ると、一本きりのレールは右に大きくカーブして川を渡ります。通常の鉄道の場合、凹の字の断面をもつ高架橋の上に線路を敷き、その上を走るわけですから、高いところでも車両はフェンスにつつまれている感じ。しかしモノレールは車体そのものがむき出し。ドア一枚隔ててすぐそこは「空中」なのであります。

これは高所恐怖症の方、泳げない方はドキドキするんでしょうねえ。けっこう車体も傾きますから、なおさら。私は幸いにして高いところも大歓迎ですし、泳ぎもまあ一人前にはできますので、ワクワクしているばかり。しかしこういう箇所でもできるだけ、もじもじと外を見ないようにしている方がたまにいます。一見のんびりした空中散歩にも、人知れず大冒険に挑戦している、のかもしれません。心中秘かに応援しております。


#241 「回転・その4」

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「もういいだろうょ…」という声も聞こえて来るような、そんな気もいたしますが。しつこくやります。4回目です。ターンテーブルの話題を取り上げる回数日本一、のサイトかもしれません。

 今回のターンテーブル、ところは東京都港区港南1丁目にある、芝浦中央公園の西側に位置します。といっても地図を見れば分かるのですが、公園の西は広大な鉄道用地。はい、そうです。その中にお邪魔したのであります。

ターンテーブル 4回目! 東京と九州を結んできたブルートレイン「富士」「はやぶさ」が廃止されるのを前に、車両整備の様子などを取材させていただきました。その際に目にしたこちらのターンテーブル。一見してわかるように、現役感があまりありません。現場の方に尋ねますと、長らく使っていないそうです。かつては蒸気機関車がぐるぐる回ったのでしょう。しかし車両の両端に運転台の付いている電気機関車に代わった段階で、事実上のお役ご免となったのでしょう。赤く錆びた周囲のレールも、若干もの悲しいですね。


#240「逆走」

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こういう表示、見たことありますか?首都高速の出口に掲示されています。ここから先は自動車専用道路のため、歩行車や自転車は入っちゃいけません、という警告。それはそうですよね。危険極まりないことになりますから。しかし、現実の怖さはその「極まり無さ」をすでに上回っています。「自動車による高速道路の逆走」がそれです。

逆走.jpg複雑な構造のインターチェンジでは、ぐるっと走っているうちに、あれ?と勘違いすることもあるようで、このタイプの逆走は年齢や性別を問わず起きるようです。サービスエリアから本線にでるときも、逆方向に出てしまうことがあるそうです。あっと気づいて車をバックさせる映像、リアルタイムでも放送しました。事故寸前。危ないですねえ。

しかしもっと深刻なのが、認知症などで運転者本人が逆走と気づかないケース。先日は警察の調べに対し、「高速道路を走っているとも思わなかった」と話していた高齢ドライバーもいたほどです。これでは警告も通じません。時速100キロで走っているときに、同様のスピードで対向車が走ってきたら、あっという間に目の前まで来るそうです。「自分は大丈夫」「自分の家族は問題ない」、そうお思いでしょうが、どうぞ今一度、ご注意ください。比較的、逆走が少ない首都高速でも逆走事故は年に1度ほど起きているそうです。ご用心。


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プロフィール

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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