2008年5月アーカイブ

#164 「石畳」

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 『リアルコンノ』に掲載の通り、先日熊本に出かけてきました。いいですね、路面電車の行き交う街。自動車とバスの間に、ちょっと違う乗り物が ゴーッ と小さく現れると、それだけで街の空気が変わります。週末の早朝ゆえ、交通量が少ない大通りは、ずっと向こうまで見渡せて爽快です。視界の奥行きも目に好いのと同時に、足元の風情も優しさを漂わせています。 そう。石畳ですよ。

石畳 アスファルトで固めた真ん中に2本のレールが敷かれていますが、その周囲が石で埋められています。写真をじっと見て、イメージしてみてください。 ここの部分をコンクリートで塗り固めたとしたら。きっと無粋ですよー。視覚的に道路と線路を分けるのと同時に、街路のアクセントとしても十二分に絵になります。

熊本市電1

 

 

 

 線路だけだと寂しいので、電車の写真も2枚ほど掲載しましょう。

熊本市電は新旧さまざまな車両があるようで、見ていて飽きません。試乗記はまたあらためて。

熊本市電2

#163「地下鉄新駅 2」

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 東京メトロの副都心線。来月開業です。ご存知のとおり、渋谷駅では安藤忠雄さん設計の地下駅工事が進んでいます。全体像はほぼ出来上がったこともあり、各メディアの取材も随時行われているようです。地上から見るとこんな感じ。 080518shibuya2.jpg夜の渋谷はさまざまな乗りものが行き交います。長年にわたる工事でずいぶんゴチャゴチャした印象がありますが、もうじきひとつの工事は一段落するのでしょう。

080516hukutosin1.jpg

  先日、森麻季キャスターがこの地下空間に取材に出かけました。先輩のために写真まで撮影…。電車が全体に右に寄っていてフレーミングに難あり、と思いきや、この左側の余白にも意味があるのです。一見すると格子の入った窓のようにみえる枠は、広告看板を入れるスペースと思われます。裏から蛍光灯で照らす、あれです。地方の私鉄などは、このごろは駅構内の看板や車内の中吊りで、広告が埋められないことが多いのですが、こと渋谷駅に関してはまったく心配無用。ひとたび営業が始まれば、ここがブランクになることはまず考えられません。なんたって渋谷駅なんですから

 ということは、この「試運転の標示を掲げたまっさらの新車&広告の入っていない広告看板」というこの写真もきわめてレアなショット、と言えましょう。


#162「地下鉄新駅」

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 横浜市営地下鉄の新線、「グリーンライン」が3月末に開業しました。

 

私には馴染みの地域ですので、ちょっと遅ればせながら様子を見に行って「ほほぉ…」と感銘。何が?って、駅舎の佇まいが、です。都心の地下鉄駅は、まず「地上の駅舎」がありません。歩道にぬっと階段だけが上がってきたり、地上のビルの一角に出入り口が併設されていたり。

 

  そこへいくと、この北山田駅は南欧風の瓦を載せた比較的大きな駅舎。ちょっと無い感じです。奥のほうに時計台もあったりして。ところでなんでこの写真、人がひとりも写っていないんでしょう。ニュータウンで若い住民もたくさんいるはずなんですけどね。

北山田駅.jpg

  

  もうひとつ。隣の東山田駅。これはなかなかモダンです。外周をほぼガラスで包み、白い細身の柱が縦と斜めの線で平屋を支えるスタイル。外からよく見ると、広いコンコースの中で自動券売機がいくつか並んでいるのが見えます。通常は地階にあるそうした施設も、当たり前のように地上の駅舎に納められています。

東山田駅.jpg

 新しい路線、比較的用地に余裕があるからできること。地下鉄ではなかなか出来ない力の入れ方を感じることができました。


#161「同好の士」

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 写真はかつて上越線経由で東京と新潟を結んでいた特急「とき」です。在来線の奥には並行して高架線が走っています。もう上越新幹線の建設が進んでいた時期でしょうかね…。

 

鉄道模型レイアウト.jpg

と、3センテンスにわたって引っ張りましたが、鉄道模型のレイアウトです。『乗りもノート#033』でも登場した銀座のバー「パノラマ」であります。この日は、日本テレビ社内の鉄道好きが集まってあれこれと話が盛り上がったあと。「例の店に行きましょう」となり、大挙押し掛けたのでした。いいですね、ちょっと歩くと目指す店。

 

 そもそも同好の士の会合は、「ある目的」のもとに集結しているのですが、何しろ「鉄道好き」「日本テレビの社員」ということ以外には何の共通点もありません。普段は他部署との交流が多くない私にとっては、じつにいいんです。管理職も若手も無関係。「ある目的」が無ければゆっくり話すことの無かった面々ですので、鉄道を通じてあれこれと盛り上がります。本物の鉄道では絶対にあってはならない「脱線」も、わいわいと語らう中で「話が脱線」するぶんにはむしろ好ましい効果や思いがけない収穫があるんですねえ。

 

 レイアウトや展示車両を隅々まで眺め、まだ月曜の夜であることを思い出し、日付の変わった銀座の街に出てみると、外は本降りの雨でした…。(どんだけ盛り上がったのだ?


#160 「高速マシン」

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 日テレのゼロスタ広場に、ちょっとレトロな感じのレーサーが鎮座していました。

マッハ5号

真っ白い車体に赤いアクセント。ルーフの無い車体は、離れて見ても真っ赤なインテリアが目立ちます。とんがったノーズにはヘッドライトがありませんから、明らかに公道を走る車ではないことがわかります。

 

 で、横に置かれた看板を見ると「マッハ5号」という名前らしいです。いいですね。「マッハ5号」。昭和の感じが…と思いきや、日本のものではありませんでした。7月5日に公開されるアメリカ映画『スピード・レーサー』。その劇中で主人公が乗るマシンの実物大のものだそうで。主人公の名前がそのまま映画タイトルになっているようです。

 

 こういう物件を見つけたときのわたしは、周囲を気にしながら写真を撮るのですが、今回もすぐそばにいた若い係員の女性に「車と一緒に写真を撮りましょうか?」と声を掛けられました。よほどワクワクして見えたのでしょう。本人としてはその高ぶりをぐっと押し殺したつもりだったんですけど…。


#159 「最南端」

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  モノレール 番組HPで掲載している「リアルコンノ」には書きましたが、先月沖縄に出かけてきました。勝手知ったる土地なので、基本的にはレンタカーで移動していたのですが、帰京時は空港までモノレールにて移動しました。車両が写っているのは、県庁前駅でのショットです。

 

 今回の目玉は「日本最南端の駅に降りたつ」こと。鉄道ファンのあいだでは言わずと知れた「赤嶺駅」です。これまでは何度か「通過」してはいたものの、モノレールから降りてみることがなかったので、今回は20分ほど時間を余計に見積もって乗車しました。

 

 で、赤嶺駅。着いてみるといささか拍子抜け。ホーム上には「日本最南端の駅」を示すようなものはとくに見つかりませんでした。北緯26度11分36秒、だそうですが。短いホームには駅名標とベンチぐらいしかありません。突然にやることを無くし、途方に暮れて次の列車を待ちます。

赤嶺駅

  モノレール2 思い立ってホームの端から南側を見てみると、行く手のレールはぐーっと右にカーブして、終着の那覇空港駅に向かいます。地図でご覧いただくとわかるのですが、那覇市中心部からここまでおおざっぱに言うと南下してきたモノレールは、ここ赤嶺で右にターン。北上して空港ターミナル横に滑り込みます。日本で一番南のレールの向こうには、自衛隊の航空基地と、海が見えました。

 

 帰京後。ネットで調べてみると、 「最南端」のモニュメントは駅前広場にあるようで。あちゃー。次回の課題です。


#158「吊り革 3」

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 先にお断りしておきますと「吊り革」についての前回の考察は、ずいぶん前のことです。ほぼ1年前。#062#063の2回でした。それに続く3回目ですので悪しからず。

 

080401Disney8.jpg

 

 前回の#157で紹介したディズニーリゾートラインは、テーマパーク内のいわゆる「アトラクション」と誤解されがちですが、決してそうではありません。正真正銘の「鉄道」です。その証拠に、運賃の改定では国土交通大臣に認可を求めています(国土交通省の記者クラブにてそのリリースが配られました)し、切符売り場に行けば「定期券」も売っています。いっぽう「反時計回りの一方通行の単線」とか「車掌はいるけど運転士はいない」という運転方式は非常に特徴的。まあいろいろとマメ知識の多い路線であることに間違いありません。

 

 080401Disney4Tsurikawa.jpg

  

しかし何と言っても、誰の目にも明らかな特徴は、そのデザインでしょう。外観からして一目瞭然。側面の窓がミッキーの型に切り抜かれています。で、吊り革も持ち手の部分がミッキー。これ、他のキャラクターでも可能でしょうけど、認知度の高さからいってミッキーに敵うものは無いでしょうね。  


#157「親密♪」

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 鉄道に乗ったときの座席についての考察です。本稿の#152で私はこう書きました。「やっぱり一番グレードが低いのは車体側面の窓に沿ってずらーっと伸びたロングシートでしょう。ヨコ方向に進むのも今ひとつ。流れゆく景色を眺めづらいのも失点です」窓を背にして座るロングシートの味気なさを切々と綴ったワケですが(誰に向かって?)、ここに来て新機軸のシートが発見されました。 親密_1.jpg
 それがこちら。ドアのヨコからまっすぐに伸びるロングシート…かと思いきや。通勤電車に慣れた私たちの目を疑わせる、突然のカーブ。座席はぐいっとラウンドしています。その端っこ(写真では左側)に座るとすれば、進行方向に向かって腰掛けることになるのです。電車の進行方向に正対できるこのシート。乗りもの好きにはたまりません。単なるロングシートと比べると評価ポイントがずいぶん上がりますね。

 で、この列車はどこのものかというと、この写真親密_2.jpg「ディズニーリゾートライン」なんですね。心理学的には、人は90°の角度で座ると親密さを増すと言われています。ロングシートに並んで座るより、ボックスシートで向かい合うより、このラウンドシートで90°の位置になるよう座ると、ふたりのココロの距離は急接近♪…さすがはディズニーです。周回する列車内も、夢を広げてくれますね。この連休もきっと多くのカップルがこのシートで親密になったに違いありません。

#156「ガソリン」

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GS.jpg 暫定税率が復活し、きのう5月1日から元どおり課税されているガソリン。普段は残り3分の1を切る頃までは自家用車のガソリンを入れない私ですが、ガソリンスタンドの様子も知っておこうと思い、29日の夜にスタンドに行って来ました。まだ1日を残したこの日、やはり幹線道路沿いのスタンドは、みたことの無い混雑。路上にも数多の車が並んでいました。

 私の車は、前回満タン給油したときからの走行距離からして、だいたい20リットルちょっと入るかなと推測。案の定、タンクは21リットルを飲み込みました。1リットルあたり30円ほどの値上げが予想され、実際には35円も上がりましたから、700円もの差額です(4月23日に町村官房長官は、連休中に一気に値上がりすることには多分ならない、という趣旨の見通しを示しましたが、完全に外れました)。値上げラッシュのご時世、出来ることはすべからく節約したいとお考えの方が殆どでしょう。夜、長い行列を我慢してでも給油しておきたいと考えるのは、当然のことと言えましょう。自分の懐が痛むかどうか、その痛みがどこまで抑えられるかという切実な問題ですから。

 この感覚。きのう「リアルタイム」のコメンテーター・山本博さんは「福田さんも全国の知事の皆さんも、暫定税率は必要だと言うんですが、僕はあの人たちの中にね、自分でガソリンスタンドに行って、給油して、自分の財布からお金を出している人が何人居るのだろうかと聞きたいですね」とおっしゃいました。このコメントがどう受け止められているか、私は与野党の国会議員視聴者の皆さんに確認したい気持ちにかられます。


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プロフィール

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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