#062 「吊り革」

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 乗りもの界の「死語」として「網棚」を取り上げましたが、今回は「吊り革」です。きょうも電車で彼らの世話になった方、大勢いることでしょう。朝は朝で混雑にもまれる身体を預け、夜は夜できちんと立っていられない酩酊した身体を預け…。

 はじめは本当に「革」だけが吊ってあったのでしょう。

そのうち革の先に円いプラスチックのような握り部分がついて…。

  ここまではまあ、「吊り革」と言って良いでしょう。問題はそのあとです。「本革」はビニールのような素材に取って代わられました。この時点で「吊り革」という名と実態とのあいだには、大河のような隔たりが生まれたわけです。

 それから幾星霜…(大げさです)。
JRの新車発表時の資料を見ますと、「吊り革」は「吊手」と記されています。いつの間に。しかも「抗菌吊手」なんていう記述も。あらら。「つり革」時代には「抗菌」なんて考えられませんよね。なんたって「本革」なんですから。こうして「吊り革」は、乗りもの界における「死語リスト」に名を連ねてしまうのでありました…。



  写真は
  比較的オールドファッションな、
  円いタイプの吊り革です。

  これ見ただけで
  どの電車か分かる人、
  世の中には
  きっといるんでしょうねえ。


2016年8月

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プロフィール

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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このブログ記事について

このページは、近野 宏明(こんの ひろあき)が2007年5月25日 00:00に書いたブログ記事です。

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