#062 「吊り革」
乗りもの界の「死語」として「網棚」を取り上げましたが、今回は「吊り革」です。きょうも電車で彼らの世話になった方、大勢いることでしょう。朝は朝で混雑にもまれる身体を預け、夜は夜できちんと立っていられない酩酊した身体を預け…。
はじめは本当に「革」だけが吊ってあったのでしょう。
そのうち革の先に円いプラスチックのような握り部分がついて…。
ここまではまあ、「吊り革」と言って良いでしょう。問題はそのあとです。「本革」はビニールのような素材に取って代わられました。この時点で「吊り革」という名と実態とのあいだには、大河のような隔たりが生まれたわけです。
それから幾星霜…(大げさです)。
JRの新車発表時の資料を見ますと、「吊り革」は「吊手」と記されています。いつの間に。しかも「抗菌吊手」なんていう記述も。あらら。「つり革」時代には「抗菌」なんて考えられませんよね。なんたって「本革」なんですから。こうして「吊り革」は、乗りもの界における「死語リスト」に名を連ねてしまうのでありました…。
写真は
比較的オールドファッションな、
円いタイプの吊り革です。
これ見ただけで
どの電車か分かる人、
世の中には
きっといるんでしょうねえ。