2009年10月アーカイブ

#309「モーターショー 2」

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淋しいモーターショー。その一端は「イベントコンパニオン」の世界も同様です。初めてプロダクションの幹部に話を伺いましたが、その窮状たるや、驚きです。イベントコンパニオンの世界では、モーターショーは一つのステイタスだそうで、きらびやかな衣装、練り込まれたステージ、夥しい数の観客、どれもが女性達の憧れでもあったということ。しかしその表現の場自体が激減。今回の求人は従来の半分になったとか。その結果、単に笑顔でクルマの横に佇むだけではダメで、商品の説明や通訳など、一人何役もこなすことが求められるそうです。しかし、せっかくオーディションをやったのに、キャンセルという例も。次回以降はモーターショーに拘泥することなく、同時期の別イベントへの参加も検討しなくては…と話していました。

モーターショー5.jpg

とはいえ、楽観的に見ている経営者もいました。日産のカルロス・ゴーン社長です。「(各メーカーが)日本市場を軽んじているなんて事は全くありません。我々にとって非常に重要なマーケットです」「この1年は、だれもが倹約しようとするでしょう。しかし2年もすれば、私の予想では、(今回出展を控えたところも)みんなモーターショーに戻ってくるでしょう」とおっしゃる。そのキーは電気自動車。「これこそがすべての問題の解決方法なのです。原油高、地球温暖化、排気ガスなど、すべての問題を可決できる唯一の正解なのです」と、自社製品に自信をしめしていました。

モーターショー4.jpg

別のメーカー関係者は「環境だけ」では息が詰まる。やっぱり「走り」の愉しさも目指していきたいとのこと。期待しましょう。


#308「モーターショー 1」

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東京モーターショーが開幕しました。メディア公開日に見てきましたが、ひとことで言うと「淋しい気持ち」であります。出展者の激減は随所に感じられました。

モーターショー1.jpg

①:外国メーカーが来ない。アルピナ、ケイターハム、ロータスの3社のみ。メジャーメーカーは皆無です。かつて目を見張ってきた海外の憧れのクルマたち、今回は一堂に見ることができません。ディーラーに行って見るのは「購入」と直結するので、ショーで実車に触れるのは貴重な体験だったのですが…(つまりそれこそ、費用対効果の悪さ、ということなのですが)。出展メーカーのキャンセルは直前まで続いたそうです。

②:国産メーカーのブースもコストダウン。ブースを取り囲む「天井」を省いたところが増えました。ステージの高さも下げ、クルマを載せてクルクル回るターンテーブルも減りました。いずれも設営費用の削減に繋がります。以前はよく見受けられた、「商談用、お得意さまを接遇する二階席」もめっきり減りました。クルマの横に居るメーカーの説明員も最小限。これは出張旅費などの削減に直結するのでしょう。

モーターショー2.jpg

 

モーターショー3.jpgあるメーカーの関係者からは、これを契機に、華やかできらびやかだったショーが、本来のかたちに戻るのかなという声も聞かれました。つまり、優れた技術をお披露目する場としてのショーに。次回はもうちょっと詳しくご報告します。


#307「つけ替え」

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東京モノレールの線路

 手前が現在の線。奥が将来の線です。使い込んだ色を見れば一目瞭然ですね。これ、東京モノレールの線路です。場所は羽田空港。来年10月にオープンする予定の新・国際ターミナル付近。いま海沿いに走っている線路をちょっと陸側に振って、ターミナル直結の 駅が作られます。

東京モノレールの線路の合流点

 都心から進み、その新駅を出て、またもとに戻るのがこの場所。いずれ付け替えられます。すでに合流点ぎりぎりのところまで線路が出来ています。面白いですよね。付け替えの作業はきっとおそらく新駅のオープン前、終電のあとに一気にやるのでしょう。ある日からこちらに線路を付け替えて、試運転を行うはず。

 この付け替えが地表面だとそう珍しくもないのですが、空中に舞うモノレールのこれだけ大きい構造物でやるっていうのが、何とも乗りものゴコロ、建造物ゴコロをくすぐります。段取りを間違えるわけにはいきません。こういう手順を考える人ってすごいなあ…と感心するのでありました。


#306「混雑感」

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表参道の掲示

 表参道駅で見かけた掲示です。半蔵門線・田園都市線。一編成にこれまで2両だった6ドア車両を、3両に増やすというお知らせで、この春から順次変更が進んでいるようです。

 私も大学に入って上京するまで実感を伴わなかったのですが、東京の朝のラッシュは尋常ならざるものがあります。1両あたりのドアは通常片側に4つですが、山手線など一部の電車には「片側6つ」のドアをつけた車両が導入されました。長さ20mちょっとの車両に6つのドアですから、横から見ると「ドアだらけ」の感じがします。

 その車両、最も混雑する時間帯に、イスが全て強制的に折り畳まれます。そうなると「ただの箱」。まあどっちみち座れない時間帯だからと割り切れば良いのですが、もしかすると座れるかもしれないという「可能性」、も排除されてしまう悲しさ。

 この車両は座席が無いぶん、若干「立ち客の密度」が小さいのでしょう。そのへん駅での掲示はじつに正直です。写真をよく読んでください。「混雑感の軽減」と表現しています。編成全体で乗る人員に変わりはないでしょうから、あくまで「混雑の軽減」ではないと。私が社会人生活を続ける限り、東京の電車はどこも、「混雑感の軽減」程度で推移するのでしょうな。侘びしくも空しい限りです。


#305「海芝浦 2」

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ホームの先には小さな改札(というか)Suicaをタッチする機械が。さらにその先、すぐ右に東芝の工場の門がありまして。「工場関係者以外は入れない」んですねえ。もっともな話で、ほかに用事がない場所ですもん。

海芝浦3.jpg

もちろん東芝関係者ではない私、路頭に迷うところですが、ホームからまっすぐ正面に、小さな公園がありました。工場と海の境にささやかに…。ここは海風を全身で感じられるロケーションですね。電車内で目星を付けた「鉄道好き」と思しき5人は皆、その公園へ。海側に向いたベンチに腰掛け、弁当と缶ビールを楽しみはじめる人、タバコを吸って談笑する2人連れ、近所のウォーキングの延長のような初老の男性、そしてホームの写真を撮る青年、さらに、私。

海芝浦4.jpg

いま乗ってきた電車で折り返すまでのおよそ20分間、思い思いの過ごし方で発車を待ちます。お互いに声をかけるでもなく。なんだかずいぶん遠くまで来たような気分になってきました。いま私がここにいることを、誰も知りません。まさかこんな形で海を眺めて汐の香りを帯びた空気を胸いっぱい吸い込んでいるとは。しかしここはいい。もうちょっと天気がよかったら、気分転換にもってこいの場所になります。日々の生活に思うところのある方、おススメです。

海芝浦5.jpg


#304「海芝浦」

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 JR鶴見線の旅、実に楽しくもディープです。今回は枝分かれしている鶴見線の行き止まりの一つ、「海芝浦」に向かいました。「鶴見小野」駅を発車した電車は、首都高速横羽線をくぐると一気に工業地域に入ります。この時点で乗客は、ほぼ、この地域の大工場に関係する人ばかりと見受けられます。そりゃそうですよね。いわゆる「盲腸線(=行き止まりの路線)」ですから。ところが「ほぼ」と書いたのにはワケがあります。残る「少数」は、ほぼ、「鉄道好き」と思われるのであります。つまり、私と同様、「わざわざこの鶴見線に乗りにきた」という風体の方がちらほら…。居るんですね(と、自分を棚に上げる)。

 電車は「浅野」で二手にわかれ、いよいよ工場と運河以外に何も見えなくなります。そして「新芝浦」駅を出るとまもなく、ぐいっと右にカーブ。終点の「海芝浦」到着です。

海芝浦

 …噂に違わぬ駅でした。単線の進行方向左手にホーム。その横は、海です。ホームの下方から「ザパッ、ザパッ」と小さく波が打ち付ける音が聞こえます。同じ水の音でも、やっぱり川とは違います。ホームに立つと、海の向こうに首都高速の大きな橋「鶴見つばさ橋」の偉容がドーンと。上を往くクルマがとても小さく見えます。日本の土木技術って、すごい。いっぽう小さなホームの先には…。

鶴見つばさ橋

#303「国道」

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国道1.jpg

JR鶴見線の国道駅はカーブした高架上にあるので、ホームはこんな感じ。まあこじんまりとした普通のホームです。しかしこの駅の真骨頂は、高架下、改札に向かうところから始まります。ホームからの階段を下りていくと、なにやら芳しい香りが。「焼鳥」です。その香りと、薄暗い階段がすでに「異界」のような雰囲気を醸し出します。改札は無人。「Suica」をタッチする可愛らしいスタンドがあり、そこを抜けると、ホームの真下は昭和初期そのもの。タイムスリップしたような錯覚にとらわれるのです。

 

国道2.jpgその様子がこちら。カメラが勝手に明るさを補正するのでかなり明るく見えますが、実際に自分の目で見るほうが、遙かに薄暗く感じました。50メートルほどの通路の両脇には、ひとけのない住まい(と思われる)が何軒か続きます。一軒だけ灯りをともしていたのが、ホームを降りはじめると漂う香りの元、焼鳥屋さんでした。この通路、映画のロケなどにも使われたそうで、なるほどこの雰囲気はセットを作る以上に雄弁な映像になるでしょう。

 

 

国道3.jpgホーム下の通路を抜けると、「魚河岸通り」と名付けられた道に出ます。つまり、カタカナの「キ」の字のように、東西に並行する街道を、線路が縦にまたいでいる格好です。南側の道は現在の15号線に並行して走る、旧東海道と思われます。釣り船の店、天婦羅の店などが並ぶところを見ると、「ああ、いにしえの東海道の風情…」と思わずにはいられません。電柱に記された住所は「生麦」。そうかこのあたりで「生麦事件」は起きたのだなと、日本史学専攻の私は思うのでありました。

次の電車を待つまで、まさに「歴史」をひも解くような20分間。国道駅はじつに奥が深い

国道4.jpg


#302「駅前」

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国道駅前バス停

 「○△駅前」というバス停は数あれど、ここはなかなか強力です。「国道駅前」。つまり「国道」という名の、いかにもストレートな駅があるわけですよ、この日本の鉄道駅の中には。このバス停がある広い道路は「国道15号」。写真右隅に見えますね。いわゆる「第一京浜」です。これと立体交差している駅だから、「国道」。駅名に由来する道路名、というのはよくあります(「○△駅前通り」みたいに)が、「道路名に駅名が由来する」というのはあまりないですよね。国道15号=「第一京浜」は、東京・東新橋の日本テレビのすぐ前を通る幹線道路です。これを品川、川崎と進み、横浜の鶴見区に入ったところにこういう駅があるのですね。この命名法だと、第一京浜を跨ぐゆりかもめの新橋駅も同様に「国道」となっても不思議じゃないところがおもしろい。

 首都圏でJRをご利用の皆さん、車内の路線図を見てください。川崎、鶴見のあたりに、黄色く塗られにょろにょろと伸びた短い路線がありますから。この「にょろにょろ」がずっと気になっていたワタクシ、ついに行って参りました。

 鶴見駅で京浜東北線を降り、3両編成の短い電車に乗って最初の駅。それが、「国道」です。ほんとに「国道」と書いてあります。そりゃそうだ。「国道」駅なんだから。ここがなんともいい駅でした。詳しくは次号にて。

*ちなみに、阪急今津線には「阪神国道」という駅があります。「阪神電鉄の国道駅」ではありません。国道2号線=通称「阪神国道」と交差する阪急の駅です。こっちも行ってみたい。


#301「潤滑」

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自動車もオートバイも、エンジンを使って動くものに欠かせないのが潤滑油。昔は父親が車庫から車を出して、下に潜り込み、自分でオイル交換をしていたものです。ああいう整備を自分でやるというのは、大人の特権なんだなあという感じを抱きました。懐かしい。

ドロップ1.jpg

写真はちょっと懐かしいエッソのエンジンオイル缶…に見えますが、よく見ると「ESSO DROPS」って、つまりドロップの缶です。あら。

フタをあけて手のひらを開き、ジャラッと出してみると、色とりどりの飴ちゃんが…。口に入れればそこには甘さと懐かしさ。うーん。美味しいわけです。製造は「サクマ製菓」、サクマのドロップスですもん。ちなみに私は、「メロン」味がスキでした。

 

ドロップ2.jpgいまこの缶は私の机上にて、一日何度か活躍しています。ちょっと疲れた時に一粒、気分転換のときに一粒。エンジンオイルさながらに、私のココロの潤滑油になっているんですね、これが!


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プロフィール

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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