#305「海芝浦 2」
ホームの先には小さな改札(というか)Suicaをタッチする機械が。さらにその先、すぐ右に東芝の工場の門がありまして。「工場関係者以外は入れない」んですねえ。もっともな話で、ほかに用事がない場所ですもん。
もちろん東芝関係者ではない私、路頭に迷うところですが、ホームからまっすぐ正面に、小さな公園がありました。工場と海の境にささやかに…。ここは海風を全身で感じられるロケーションですね。電車内で目星を付けた「鉄道好き」と思しき5人は皆、その公園へ。海側に向いたベンチに腰掛け、弁当と缶ビールを楽しみはじめる人、タバコを吸って談笑する2人連れ、近所のウォーキングの延長のような初老の男性、そしてホームの写真を撮る青年、さらに、私。
いま乗ってきた電車で折り返すまでのおよそ20分間、思い思いの過ごし方で発車を待ちます。お互いに声をかけるでもなく。なんだかずいぶん遠くまで来たような気分になってきました。いま私がここにいることを、誰も知りません。まさかこんな形で海を眺めて汐の香りを帯びた空気を胸いっぱい吸い込んでいるとは。しかしここはいい。もうちょっと天気がよかったら、気分転換にもってこいの場所になります。日々の生活に思うところのある方、おススメです。