2007年11月アーカイブ

#113 「GT-R その2」

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 ゴーン社長とは1時間ほど過ごしたのですが、話をしていて驚くのは「迷いがない」ことです。

 とりわけ運転しながら私が訊ねる質問は、行ったり来たりで脈絡も無いときがありました。そういう問いかけへの答えにも全く淀みがありません。ええと」とか「うーん」といった間を取ることなく、口を開いてひとこと目から確固たる回答になっています。日々膨大な情報に接し、大きな判断をスピーディーに下していく国際企業トップならでは、なのでしょうか。頭の中の引き出しを検索し、的確な答えを引き出す早さが尋常ではありません。
かくありたいと思うものの、真似するのは土台ムリがあるのでしょうね。

 そうした会話の中にのぞく、ちょっとソフトな「語録」をちょっとご紹介しましょう。
「きょうは仕事はしていません。近野さんと楽しんでいます。GT-Rのことを話すのは楽しいからね。これは仕事ではありませんよ」…前日には福岡の工場を視察するなど、3連休とは全く無関係に仕事をこなすゴーン社長に「休みが無いじゃないですか?」と訊ねたときの答え。
「特に、時には裏番組を見ないとね。そうすれば予想外のことを発見出来るかも」…ライバル車(ライバル社)の研究は大切、という話の中で近野へのアドバイス。まことにおっしゃるとおりです。
 
 こうしてスキッと晴れた空のもと、GT-Rは都心を軽やかにそしてパワフルに駆け抜けてゆくのでありました


#112 「GT-R」

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 12月6日に発売の日産GT-Rに乗せていただきました。しかもこの車、正真正銘、ゴーン社長のプライベートカーです。さらに運転するのは私助手席のゴーン社長と話しながらドライブという、車好きにはこの上ない試乗です。正直、「役得」です。報道局内のあちこちから「うらやましい」というつぶやきを聞き、そして銀座の日産本社を出発するときには多くの日産ファン、GT-Rファンから尋常ならざる羨望を集めました。誠に申し訳ありません。

 

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 日産はこのGT-Rを日本初の「スーパーカー」と標榜しています。そのスペックは尋常じゃありません。歴代のGT-Rを凌駕するのはもちろん、世界の市販車でもトップクラスにあることは、モータージャーナリストもお墨付き。しかしそのコンセプトは「誰でも、いつでも、どこででも」。超高性能をマルチに楽しめる車に仕上げるのは、相当な困難もあったことでしょう。

 ゴーン社長がこの車の仕上がりについてたいへんな自信を持っていることが伺えました。綿々と続いて来たGT-Rという歴史に裏打ちされた新たな挑戦。その自負情熱を感じたのはご自宅の前で車を降りたときでした。銀色に輝く車に向けたまなざしは、自分の息子を見るような慈しみと愛情がこもっていたのです。


#111 「くじ運?」

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 人生大過なく過ごすということは、それだけで運がいいと言えるかもしれません。しかし。凡夫は偶然に左右される領域まで、幸運を求めてしまう生き物です。何が言いたいのかというと「くじ運」のことです。

 最近150分の1のミニカーの世界は「くじ運」が物を言う世界になりつつあります。「60年代の日本車」「働くクルマ」などのシリーズものが安価で販売されているのですが、箱の中にどの車種が入っているかは開けてみるまで分からない、というものが多いのです。

 もともと安価ゆえ、いわゆる「大人買い」(=一気に全部買う)みたいな買い方をすれば目指す車種などが入手できるのでしょう。しかしそこまでしちゃあ粋とは言えません。こつこつ一つずつ買うワケです。…と、どうなるか。きょうの写真です。

kon_071123.jpg        白いテレビ中継車。よく見ると「tv asahi」のロゴが。

 

 箱に描かれた全12種の中には日テレも含まれています。ということは日テレ中継車をゲットするには12台買えばよいのか。いやいや、それでも日テレの中継車が箱から出てくるとは限りません。それが、くじ運であります。日テレの中継車ミニカーばかりを手にしているテレビ朝日関係者の方!くじ運の悪い者同士、交換してください。


#110 「路上駐車」

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  先日、宅配便のトラックが路上のパーキングメーターを不正にリセットし、長時間に渡って路肩の駐車枠を占有し続ける実態について、『リアルタイム』でお伝えしました。都心の駐車場不足は深刻ですが、やってはいけない行為です。

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        本日紹介するのはスペインの街角のひとこま。

 路肩に停めた車のバンパー同士がぴったり接触しています。オレンジ色の小型車は、出発時には前後の車をグイグイ押してスペースをつくってGO!となるのでしょう。日本では考えられません。そもそもバンパー(bumper)は「緩衝器」という意味ですから、「ぶつかる」「ぶつける」ことを前提とした装備なんですよね。もともとは。しかるに最近はボディと滑らかに一体化した、ボディ同色のバンパーが主流(写真右の車がまさにそれですね)。日本でこんなバンパーの車をグイグイと押して傷を付けた日には、トラブルになること必定です。

 左側の車を見ても分かるとおり、欧州では車の寿命も長く、ボロになってもバンバン乗り倒します。徹底して「クルマは道具」というマインドも強いんですね。私は未だその境地には至っておりません。小さい人間です。


#109 「鉄道博物館 通勤」

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 大宮の鉄道博物館の展示にはちょっとした特色があります。展示車両の中に人がいるんです。  

kon_071116_01.jpg写真は旧い通勤電車「クモハ40」です。昭和8年(1933年)生まれの74歳。戦前を代表する通勤型電車の車内は白熱灯のほんのりとした灯りに包まれています。その車端には昭和の薫り濃厚な一角が。

 ううむ。あるいは戦前か。男性は帽子をかぶり、女性は和装。セーラー服の女学生(「女子高生」ではありません)のスカート丈は長い長い。全員の身長がちょっと低めなのも、往時の日本人の体格に合わせたのかもしれません。半世紀前の通勤客になった気分で私も車内にたたずんでみました。

 それにしてもこの黒いマネキン。私が以前所属していた『真相報道バンキシャ!』の得意ワザ「完全再現VTR」で多用するマネキンと一緒なんですよね。どうもそっちを思い出してしまいます。


#108 「その後の天国前」

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なぜだ!

 と心の中で叫びました。


 本稿でたびたび(#015#024)取り上げてきた銀座の「天国前」ハイヤー乗り場の標識です。先日目の前まで行って気付きました。消されています。私が画像処理したワケではありません。念のため。
写真ではわかりにくいですが、近づいてよーく見ますと、うっすらと、もともと書かれていた「天国前」の文字も浮かび上がります。いやぁ…せっかくの発見だったのに、1年と経たずに塗りつぶされたのが無念です。いずれ塗りつぶした白い塗料がだんだんと剥がれてきそうな気がします。もしもそうなったら私の無念の現れかと思ってください


  この乗り場だけがこうした表示を取りやめたのか、ほかのハイヤー乗り場もそうなのか。まだ全容はわかりません。そして塗りつぶしにはどういう理由があったのか。追って調べる必要がありますね。ううむ。



#107 「組み合わせ」

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 乗りもの、とくに公共交通機関を好きになると「レアもの」にどうしても食指が動かされてしまいます。「自分で所有出来ない→乗って・見て愉しむ→レアものを見たい」 という思考様式です。 

kon_071108.jpg 写真は新千歳空港のひとこま。先回紹介しました「エア・ドゥ」の機体です。…と、その後ろに2機がそろそろと動いてゆきます。画面右側、先をゆく機体には「KALITTA AIR」の文字。それに続く小さめの機体は「中国東方航空」と書かれています。これは札幌(新千歳)・上海を結ぶ定期便のようです。

 では「KALITTA」はというと、どうもアメリカの貨物航空専門会社のようです。当たり前ですが航空機には貨物機もあり、貨物専門の会社だって世界中にあるわけです。この3機。羽田の旅客ターミナルあたりに慣れていると、なかなか見ない組み合わせですよね。もっとちゃんとしたカメラで撮ればよかった…。


#106「方角」

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 乗りものと地図の組み合わせは私にはたまらない「娯楽」であります。先ごろ北海道に出かけた際に、エア・ドゥの便に搭乗したのですが、その機内誌に素晴らしいページを見つけました。 

エアドゥの機内誌

 どの航空会社の機内誌にも記載されている「運航ルート」の地図です。通例、この手の地図は就航している空港同士が線で結ばれるぐらいですが、エア・ドゥはマニア心が効いています。というのも、自社が使用する各空港の周辺がいくぶん拡大されているんです。しかも!滑走路への進入コースもきちんと表現されてます。季節や風向きによって滑走路のどちらから着陸するかは変わりますが、その場合にどういうふうに空港に向かうかがわかるというスグレモノ。窓から見える地上の景色と、手元の拡大図を比べてみるとこりゃ楽しい。

 

 さらに!目指す滑走路の方角も分かるんだなあ。飛行機の運航はすべて真北を0度、東を90度、南を180度と表現する「360度」で表現しますが、この機内誌地図では空港の滑走路が何度から何度に向けて伸びているかも分かります。例えば女満別空港の滑走路は、0度と180度。本当に真北と真南を結ぶ直線です。「そこまで知る必要はあるのか?」と言われればそうかもしれません。しかし「知りたい!」のです。困ったもんです。その「知りたい!」に応える機内誌よ、本当にありがとう。


#105「鉄道博物館 サイズ」

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 サイズにうるさい私です。正確に言うと、「サイズ感覚」にうるさいのかもしれません。「乗りもノート #085」「リアルコンノ #013」でも書いております。大きさの感覚というのは、個人差や状況による認識の違いが意外に大きいもの。鉄道博物館でもそのことを再認識しましたよ。

写真は、鉄道博物館のメイン展示室ともいえる
「ヒストリーゾーン」を上から眺めたところです。

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 すでに様々なメディアで紹介されていますが、パンフレットに掲載されたこのゾーン全景の写真を見た何人かは、「これ、模型?」と口にしました。整備された車体は模型のようにピカピカ、周囲に人物が写り込んでいないという条件ですと、なお、そう見えるようです。実際には一両あたり15から20メートルぐらいありますからね。ナマで見ると圧巻です。まごうことなきホンモノであることに、圧倒されます。

 もうひとつ。博物館には鉄道模型のジオラマもありまして。こちらは奥行き8メートル、幅が25メートルもあります。私の行くスポーツジムのプールはまさにこんなサイズです。このジオラマはレール幅が16.5ミリのHOゲージと呼ばれるもの。車両を手に取るとかなり大きいのですが、それが新幹線など16両をつないだフル編成で走り回っていました。それだけ広いジオラマです。普通の家庭では16両つなぐことすら不可能です。ましてやそれが見えなくなるほど向こうにまで走り去るなどあり得ません。あまりにジオラマが大きすぎて、見ているうちにサイズの感覚がおかしくなってきます。線路幅が9ミリと、より小さい「Nゲージ」に見えてくるからこりゃ不思議。日本最大のジオラマは、サイズの感覚を惑わします。ぜひ実物を見てご確認を。


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プロフィール

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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