#013 「汽笛一声」
日々仕事をしていると忘れることがあります。わが仕事場である日本テレビの位置です。汐留はご存じ、日本の鉄道発祥の地、であります。汐留エリア、いちばん銀座に近い一角には旧新橋駅が復元。ホームも。最先端の技術で所狭しと建造された高層ビル群の足元に、風雅なスタイルの白い2階建てがたたずんでいます。
見過ごされがちなのは、当時の線路がホームからどう延びていったかということ。実は日本テレビの足元に、「横濱」へ向かう線路の位置が示されています。もちろんレールは無いですけれど。暗くなると地面に埋め込まれたLEDがピカピカと光ります。これ、日本テレビに勤務していても知らない人が意外に多いんです。
さらにその「線路跡」を延長していくと…アンパンマンショップの前。19世紀の夢の乗り物は、子どもたちの夢の店につながっていくのです。そして、さらに延長したと仮定すると、通過するのはちょうど私の席の真下あたり。いやぁ…感慨深い(←どんな?)。
その線路跡に立って、見上げるとゆりかもめ。明治の日本人を驚かせたのは、豪快な汽笛の音、そして天高くのぼる煙。その煙がもくもくと立ちこめていたあたりを、いまは無人の電車が音も立てずに海へ向かいます。汐留は鉄道の新旧が交差する街でもあるのです。