2014年9月アーカイブ

#431「半世紀」

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 日本が誇る乗りもののひとつ、新幹線が開業50年を迎えます。それまで培った技術の積み上げに、新たな知恵を盛りこんで開業してから半世紀。新幹線の路線網はなお拡大を続けています。

新幹線  のようかん

 先日、会社の先輩がワシントンに遊びに来ました。そのお土産に頂戴したのがこちらの新幹線の先頭車両セット・・・ではなく、「ようかんの5本セット」です。5本といいましてもマッチ箱のようなサイズですので、まぁ、ひとくち、ふたくち、みくちほどで食べちゃうわけですが。日本に居ないので想像するに、きっと今頃JRの駅構内ではあれこれ「新幹線50周年グッズ」が売られていることでしょう。

 この原稿を書きながら、ふと思いつきました。もしやこのようかん、上から順に0系、100系、300系、ドクターイエロー、N700系と、パッケージの通り各車両の先頭形状と同じ形のようかんだったらスゴイんじゃないか!?と。・・・で、勇んでパッケージを開けてみましたが、普通の四角いようかんでした。残念。あはは。

 でも包み紙の裏におみくじが。私が最初に開けた0系の紙の裏には「大吉」の文字が燦然と。「健康にとてもよい運気。東海道新幹線で出かけ、おいしいものを食べると健康運UP」だそうです。東海道新幹線には当分乗ることはなさそうですけど、なんかいいことありそうです。次の半世紀もお世話になります。

#430「箱型」

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 先日は「ピックアップトラック」について考察しました。ある日スーパーの駐車場に停めてあった車を眺めてみると、ピックアップトラックのほか、いわゆるSUVと呼ばれるジャンルの車、そしてオーソドックスなセダンといったあたりが大方です。

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 日本ではどうか。ピックアップトラックはほぼ皆無。SUVはいわゆるミニバンと並んで日々勢力を拡大中といったところですが、セダンについてはだいぶ比率を減らしてきたのではないでしょうか。もちろんタクシーや官公庁の公用車などはセダンがまだ多いのですが、自家用車としてのセダンはその全盛期を終えた感があります。

 きょうの写真はホンダのアコードですが、日本のホンダのウェブサイトを見てびっくり。そのラインナップ中、「セダン」のカテゴリーにあるのはいまや「アコード」だけなんですねえ。かつてはシビック、バラード、コンチェルト、インテグラ、レジェンドなど、独立したトランクを持つ4ドアセダンが何種類かあったのですが。セダン退潮を象徴していますね。

 少子化の進む日本ですから、実は7人や8人が乗れる車でも普段から大人数で乗ることは少ないのでは?と思ういっぽう、車の乗りかたも変わってきたんだなあと感じます。私たち昭和の子供たちはセダンの後席におとなしく座らされていたのですが、21世紀の子供たちは、ミニバンの中でぴょんぴょん跳ね回ったり、DVDを見たり。隔世の感があるとはこのことです。

#429「荷台」

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 日本の一般家庭ではあまりなじみのない自動車が「ピックアップトラック」です。アメリカの多くの地域の一戸建て住宅は、日本とは比べるべくもない大きなガレージがあり、そこにはドーンと大きく構えていたりします。日本でも昭和40年代、50年代には、クラウンやコロナなど、乗用車ベースのピックアップトラックも何種かあり、お米屋さんや燃料店などがよく使っていた記憶がありますが、めっきり見なくなりました。アメリカで見かける頻度はケタ違い。そして車としての大きさもケタ違い。大排気量のエンジン、山のように大きなボディ、周囲を威圧する顔つき、...まさに「アメリカ車」の代名詞のひとつです。

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 で、今回の写真ですが、そのピックアップを後ろから写したものです。よく見て下さい。荷台に若い女性が2人乗っています。この10分ほど前、ある地方都市の繁華街の赤信号で、このピックアップに追いついたのですが、そのとき荷台には、かしましくおしゃべりしていた2人の姿がすでにありました。で、そのまま市外の一本道に出てもそのまま状況は変わらず。

 何がすごいって、この道路の制限速度は時速55マイル。さらにこのトラックはビューンと勢いよく加速して私を置いていったので、間違いなく60から65マイルぐらい出ていたとみられます。つまり時速100キロですよ。日本の高速道路で、ピックアップの荷台に若い女性2人が乗って、強い日射しと風にあたりながらキャッキャと談笑する図というのはまず見ないでしょう。法令上の条件という問題もありますが。

 しかしアメリカでは「荷台に乗る若者」の図は良く目にします(荷台乗車の条件がどうなっているかは調べていません)。その出で立ちから推測すると、何かスポーツの練習を終えたあととか、これからレジャーに繰り出すとか、ボランティア作業の前後とか。ピックアップという形式の自動車が、生活に根付いていることは容易に伺えます。「荷台に乗って移動した生涯通算時間」の各国別ランキングがあれば、きっと他国を寄せ付けない1位になるのは間違い無いでしょう。

#428 「秘境?」

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 いつぞや、一人で船を漕ぐおじさんの写真を紹介したなあと思ったら、もう3年も前のこと(#379「孤独」)でありました。このときは私もまだ30代ということで、光陰矢のごとし。きょうもひとりで船を漕ぐひとのお話です。

20140909-1.JPG  切り立った鋭利な岩場の中を、カヌーはゆっくりと進みます。流れがゆったりしているせいか、この男性、ちょっと一服していますね。背中にも首にも、緊張はあまり感じられません。まわりに人工物がひとつも無いことから、ここは地方の山の中かと見まごうかもしれませんが、ここはワシントンの象徴ポトマック川なんです。

 昨夏もご紹介しましたが、夏のワシントンは水辺でのレジャーが盛んです。ポトマック川は、土日はもちろん平日でも夕刻になれば小型船や立ち乗りのパドルサーフィンが多数浮かびます。その市街地から車で30分ほど遡ったのがこのあたり。「グレートフォールズ」という滝の周辺が公園になっています。

20140909-2.JPG  特徴はその高さよりも幅ですね。そして緑の濃さからもわかるように、周囲の木立はそれなりに起伏もあり、トレイルが何本かあるのです。日射しを避けて歩き回るのによい環境です。で、トレイルを歩いていたら水辺に降りる道があり、この「秘境風」の光景に出くわしました。

 しかし少し遡ると滝があるこの場所で、カヌーはどこから来てどこへゆくのでしょうか。

#427 「踏破」

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 自動車の進歩と道路の進歩は切っても切り離せません。自動車の性能が上がり、スピードが増したのと並行して、道路は整備され、いまや日常生活では未舗装の道路を走ることもほとんど無い状況にまでなっています。

20140902_cla.jpg  古い映画や、古い時代をテーマにした映画を見ると、こんなクラシックな(もちろん当時は最新の)車が、街の中では土煙を上げ、郊外や山間部では砂利をはじき飛ばしながら疾走するシーンを目にします。自動車の大衆化がいち早く進んでいたアメリカであっても、当時の自動車の価値は現在より高かったことでしょう。高い買い物である車、しかし丁寧に綺麗に乗ろうと思っても、道路の整備はまだまだ。ということで、往時の自動車は事実上「道なき道」もぐいぐいと踏破していたに違いありません。イメージとしては、映画『俺たちに明日はない』でボニーとクライドの2人が、追っ手を逃れながら結構なスピードで草原を突っ切る、あの感じです。

 アメリカ在住のうちにひとつでも多くの州を踏破したいと思っている私。旅先でレンタカーを運転しながら、「この道に曲がって40㎞ほど行けば、まだ足を踏み入れていない隣の州に到達する」と知りながら、「でも砂利道だからなあ」という理由であきらめたことがあります。ボニーとクライドの車よりもずっと性能のよい車に乗りながら、この体たらく。自動車と道路の進歩に甘やかされて、ドライバーがむしろ臆病になっている一例です。

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プロフィール

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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