2011年8月アーカイブ

#379「孤独」

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 本日39回目の誕生日を迎えました近野です。平均的な余命を考えると、だいたい半分は過ぎてしまったわけですが、このトシになって趣味の乗りものについてこうして書き連ねていられるというのは、非常にありがたいことなのでしょう。皆様のご支援に感謝。

 さてきょうも香港。香港島の南に浮かぶ、「南丫島」の海であります。

孤独.jpg

 もしかすると、当コラムでもっともプリミティブな乗りもの、かもしれません。小船に立ち乗りしてひょろひょろと漕いでいくおじさん。私が昼ごはんを食べていたら、その前を飄々と過ぎ去りました。

 海で「ひとり乗り」というのは、周囲の自然が大きいだけに、その孤独感も比例して大きいのではないか。しかるに多くの漁師さんはひとりで海に立ち向かいます。そのことだけで頭が下がります。39歳にもなっていつもひとに助けてもらっている私など、まだまだだなぁと思うばかりです。


#378「余裕」

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 遅ればせながら、前回のステンレスシートは香港の地下鉄です。ビジネスマンや観光客に溢れ、活気に満ちた香港ならではの、「ご多忙な人向け」のしつらえ、言えるかもしれません。

 その同じ香港の地下鉄で撮った1枚がきょうの写真。このコラムでも以前に取り上げた「ホームドア」です。

余裕.jpg

 ホームに設置されているガラスのドアと、電車のドアとの関係をご覧下さい。両者の幅にそう違いがありません。通常こういうものを作る時には、多少電車の停車位置がずれてもいいように、ホーム側のドア開口部に余裕をもたせ大きくするものですが。意外やこの余裕の少なさ。もしも停止位置を補正するシステムが無いならば、運転士は緊張するでしょうねえ。

 ところでまもなくお盆に入るわけですが、この原稿はかなり早い段階で書いています。アップされる頃には世の中どういう状況になっているのか。私の能力ではぴたりと言い当てるほどの余裕はありません。


#377「硬質」

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 できるだけラクに移動したい...これは人類共通の願いです。交通機関の進歩は、スピードの追求と並行するかたちで快適性の追求によるところも大きいものです。

 たとえば最初期の飛行機は、木製のフレームの上に体をむき出しにしたまま乗るものでした。それがいまや、我が家に居るより快適なんじゃないかと思うぐらいの、柔らかで快適なベッドに早変わりするシートも。乗ったこと無いですけど。

 そこで今回考えたいのが、こちらです。

硬質.jpg

 地下鉄の座席、です。窓に沿って並ぶ長いす状のこのシート。写真でもお分かりのようにステンレスそのもの、です。見るからに硬いし、座っても硬い。決して快適とは言い難いものがあります。加減速の際にはお尻が横方向に滑りそうな気もしますし。

 短時間の乗車ならこんな感じで良いのかもしれませんし、万一の列車火災が発生したときには、こういう材質のほうが安全なのでしょう。でも、やっぱり快適性の追求、というテーマを失って欲しくないんです。乗りもの好きとしては。


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プロフィール

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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