2014年10月アーカイブ

#435「続・剽軽」

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 先日、市内にある建築の博物館を見に赴いたところ、その建物の前に、子供たちの声が響いてしました。ワシントン市の清掃局が、道路清掃車と、ごみの収集車の見学会をしていたのです。

21041028-1.jpg  働く乗りものに子供たちは敏感ですよね(私もそうですけど)。近づいてみると、なかなかキレイに整備された道路清掃車です。

20141028-2.jpg  この時期、街路樹の多いワシントンでは路上に路肩に、多くの落ち葉が積もります。それと、残念なことではありますが、市街地の道路はごみが多い。日本では考えられないぐらい、いろんなごみが散らばっているのです。そんな路上をキレイに片付けるこの清掃車。   

 外見上のポイントの一つは、先頭部分に取り付けられた2つの丸い凸面鏡でしょう。もちろん、路上のごみの位置を運転席から正確に把握するための鏡なのでしょうが、なんだか、ボディの色合いと相まって、「カニ」の目のようなユーモラスな雰囲気を醸しています。機能一徹のはずですが、その機能がたくまざる剽軽さを生み出しているのがいいですね。現に、鏡に向かって大はしゃぎする子も見受けられました。

 *そういえば、ワシントンでは路肩を走りながら枯葉を吸い集める小型バキュームカーもあって、そのハンドルさばきと吸い込み口の手さばきに見とれるのですが、見とれてばかりで写真に撮るタイミングが無く...。次に見かけたら何としても撮ります。

#434「剽軽(ひょうきん)」

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 8月に、乗りものの顔つきがどんどん厳しくなっているということを書きました。ならばどんな表情がその反対側にあるのかということも記しておこうと考え、きょう用意したのがこちらの写真です。

20141021-1.jpg  たとえばこんな感じ、どうでしょう。ずいぶん年季の入った雪上車です。この正面から見た様子など何とも剽軽といえるのではないでしょうか。上のほうから見て行くと、フロントガラスも短い鼻先も、水平基調で、まあそこまでは硬軟どちらとも言えない感じ。ですが、丸いデュアルライトが絶妙に離れているところ、ステキです。そして決定的なのは真ん中に黒い口を開けるラジエーターグリル。まるで「アゴが外れてしまったギャグマンガの登場人物」のように、下方にでろーん・・・と開いています。険しくつり上がったデザインとは一線を画します。

20141021-2JPG.jpg  サイドに回り込むと、全長の短さが寸詰まりなユーモラスを醸し出しています。縦横の比率に大差無い感じが、じつに剽軽。実際には泥濘地や氷雪の上をぐいぐいと進むヘビーデューティーな乗りものなので、その性能と見た目のギャップがたまりませんね。どうでしょう?こんなデザイン。


#433「開放」

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 すっかり秋になりました。きょうは「鉄道記念日」なんですが、夏に撮影したクルマの写真を1枚。

20141014_.JPG  アメリカは、日本に比べて格段に多くの「オープンカー」が走っています。ワシントン市内でも、朝夕の通勤時間帯に、土日の郊外に、曜日や場所を選ばず目にします。その新旧も、タイプもさまざま。

 特徴のひとつは、この写真のように「後席のある4人乗り」の割合が高いこと。「オープンカー=スポーツカー」とは限らず、乗用車の屋根無しバージョン、といった類ですね。

 もう一つの特徴は、年式の古いものが多いこと。自動車の複数所有が当たり前のアメリカですが、さすがにこの種のクルマは走行距離が増えないのか、15年、20年前のものが当たり前に走っています。それがゆえに、いい感じに外装もくたびれている。ピカピカの一張羅ではなく、普段着の1バージョン、なんですね。

 その証拠に、というべきなのか。「屋根を開けたまま駐車」という状況をよく見かけます。鳥のフン、通行人のゴミの投げ込み、不意の雨... 車内が汚れたり傷つけられたり、そのへんの懸念はあまり感じないのでしょうか。私など、もしオープンカーを所有してもその境地にはなかなか至りそうにありません。小心者ですね。

#432「無頼?」

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 ワシントンでの同業の皆さんとハーフマラソンに出場登録をして、この3か月近く、時折練習をしておりました。結果は、出張のため出走せず。「記録なし」。

 ...正直、練習を重ねても距離は伸びずスピードも上がらず。数年前は週に2、3回は1時間(=10キロ)を走っても平気だったんですが。今回、仮に出場しても20キロ余りをそれなりの時間で走りきるのはきっと無理だったと思います。こうして人は老いていくのでしょうか。

20141007777_.jpg
 そんな練習のさなかに撮影されたのがこの写真です。ポトマック川にかかる長い橋をワシントンDC側からバージニア州にむけ渡る途中、ふと川面をみるとそこに「海賊の旗」が。小さいボートに男がひとり。白いシャツに茶色のベストと帽子。大きな荷物は積んで居らず、とても身軽に見えます。もし彼が本当に「単独行動の海賊」だったら、これはかなりの無頼です。心身ともにタフじゃないと無理。もっとも、まだ海に出る手前の「川」なんですけれど。

 エンジンを切っていると思しきこのボートは静かに橋をくぐり、かなりゆっくりと進んでいきました。そのときの私の走りはというと、間違い無くこの船より遅いスピードでした。長い橋は進むも戻るもけっこうな距離がありますが、もう強い日射しで汗だく、くたくた。無頼には程遠いとしか言いようがありません。

 しかし彼はどこからきてどこに向かうのか。単独行の小船はいつもその疑問を残します。

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プロフィール

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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