2009年11月アーカイブ

#317「敬愛」

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 私が現在担当している番組「NNN NEWSリアルタイム」の番組中、ビデオ部分のナレーションを担当されている一人、伊藤英敏さんのお名前をご存知でしょうか。ナレーターの世界ではよく知られた名人であります。皆さんその風貌をご存知なくても、さまざまな番組やテレビCMで一日一度以上はその声を耳にされているはずです。私なんか伊藤さんの声を聞くと「おっ!」と聞き入る(その多彩なワザに聞き惚れる)こと数限りなし。嘘だと思うならどうぞ伊藤さんのお仕事ぶりをネットで調べてみましょう。…ね?納得しました?

池之端児童遊園にある都電

 その伊藤さんと上野・根津界隈を歩いていると、ひょっこり現れたこの都電。意外にキレイに保存してあります。数年間、都電に乗って通勤していた私もきっと乗った車両です。懐かしい!この場所は池之端児童遊園という公園。どうもまだ新しいんですね。そこに静態保存されたこの都電、1962年に製造された7506です。なんでここに保存されたのかわからなかったのでネットで調べてみると、この地にかつて「池之端七軒町」という都電の停留所があったそうで。

 予期せぬところでふっとこういう乗りものに出会うと「おっ!」と思い、見とれてしまう私。思いがけずテレビから聞こえてくる伊藤さんの声への反応と、ちょっと似通ってます。伊藤さん、乗りものに対しても一見すると同じようなリアクションですみません。いずれも根っこの部分は「敬愛」の対象だということなんです。はい。


#316「老兵」

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新潟色の115系

 いわゆる「新潟色」と呼ばれるカラーリングの電車、115系です。国鉄時代からかれこれ30年間、この地域を走ってきました。私が小学校に上がる前は、昭和20年代のものかという旧いタイプの電車がはしっていましたが、この115系1000番台が新製されて新潟にデビューしたときには、「ピカピカ!」という印象をうけたものです。旧型電車はまさに旧型で、とくに雪で足の濡れた冬場に乗り込むと、車内全体が溶けた水でくすんで湿っぽい感じがしたからなおさらのことでした。

 あれから30年。新潟の115系も相当な老朽化が進んでいます。何しろこの間には全国各地から「お古の115系」が集結、さまざまな改造が施された混成部隊となっていました。改造に伴う微少な差違にマニア心をくすぐられるファンも居るようですが、私などはたまに帰省してこれに乗ると、「ずいぶんくたびれたこと」と思うわけです。

 電車も人の世と同じく、いずれ引退が控えています。そろそろこの新潟の115系も御用納め、が近付いている気がします。


#315「仮設 2」

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並木道で見つけた光景です。スカイブルーのトラックが荷物を載せるべくスロープを下ろして…というワケじゃないようです。積むべき荷物も見あたらないし。じつはこれ、電動アシスト付き自転車の試乗体験をするためのトラックなんですねえ。

電動自転車.jpg

見てのとおり、結構な角度の坂道が荷台から伸びています。普通の自転車ならばかなりしんどいでしょうが、電動アシストを受けて走ればスイスイ登れるのでしょう。

頭では分かっていても実体験が無ければその楽ちんぶりは伝わりにくい。自転車店で見せてもらっても、そのすぐ近くに体感できる坂道があるとは限らない。だったら人の集まるイベント会場で「坂道を仮設しちゃえばいい!」という発想なのでしょうね。

愛用者の話を聞くと、去年の暮れの法改正でアシスト力が従来よりアップして、ますます乗りやすくなったとか。しかも初期の「ママチャリ」タイプだけでなく、いまや様々なバージョンが登場。書いててワクワクしてきました。走るのに気持ちいい秋だからかな。


#314「仮設」

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都心部の駅は常に「改良」をしているような印象を受けます。東京のターミナルでは渋谷駅がまだ工事中。東横線が副都心線に乗り入れるための工事をやっています。副都心線のホームは、島式ホーム(ホームが島のように線路で囲まれているので「島式」といいます)が2本。当然その両側には線路がありますので、都合4番線まであるわけですが、行ってみるとこんなかんじ。

渋谷島式1.jpg

中の2線がバッチリ敷いてあるのに、その上にホームと同一平面の通路がまたがり、さらには売店まで…。

同じ場所でカメラをパンすると、こんなかんじ。やっぱりこの通路が線路を分断しています。

渋谷島式2.jpg

どうもこの中2線は、東横線が乗り入れるまでは使う必要がないんですね。だったらホーム間の移動に階段を使わなくてもいいよう、渡り廊下のように便利な仮設通路をこしらえたと。駅が完成すれば取り払われる運命。ここから見る線路はちょっと見られない角度なので、ご興味のある方はぜひお早めに。


#313「逆流」

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またもN700系のネタです。やっぱり最新型というのはさまざまな商品を生むのですね。こちらは見ての通り、携帯電話の充電器。先頭車両を模したボディの連結器部分が、携帯電話との連結器になっているという、そのものズバリな感じであります。

充電器.jpg

さし込んでみると、ちょっと写真ではわかりにくいですが、運転席部分の窓が赤く点灯。充電中であることがわかります。ヘッドライトが点灯するのかな、と思いきや。まあこういう仕掛けが一つあるとおもしろいですよね。

ところで実車の場合は通常、「電気を受け取って消費する」電車ですが、この商品の場合「電気を外部に供給する」という逆流をしているところがミソ。しかし!このところの新幹線車両はホントに逆流させています。「電力回生ブレーキ」といいまして、ブレーキをかける際にモーターを発電機として利用することで、運動エネルギーから電力エネルギーをつくり、架線を通じて他の列車がそれを使うというんです。

偶然とはいえ「逆流」の一致を発見して喜ぶ私でありました。


#312「追憶」

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先日のモーターショー。淋しさを覚えた会場の一角で、「懐かしさ」も感じました。初代ホンダ・アコードです。1976年にデビューしたハッチバック。外装色は銀色。まさに私の実家で乗っていたものと一緒です。

初代ホンダアコード.jpg

中を覗き込むと、黄色味の強い黄土色のインテリア。当時のホンダ車の例に倣って(というかその時点ではシビックとアコードぐらいしか無かったのですが)、助手席前のダッシュボードが非常に低く、モノを載せることのできるトレー型になっていました。さらに前席の背もたれ後ろに、灰皿が取り付けられていたこともよく覚えています。子どもがガチャガチャいじれる数少ないアイテムだったので。あぁ父親の運転であちこちに出かけたなあ…。

そしてふと思い出したのが、ドアロックノブの傍らに貼ってあった「ロックしましょう」というステッカー。昔のホンダ車にはあったなあ…。私にとってドアロックは「防犯のため」という意識のほうが強いのですが、当時は「乗ったらドアロック」という感覚なのでしたっけ?

この車の写真を撮って、目を凝らすとそこにありました。「ロックしましょう」。


#311「画風」

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BMWのイラスト

 とある駐車場で見かけた看板のイラストです。コイン式の無人駐車場で、その説明が描かれていました。じつはこのイラスト、「無くても成り立つ」ものです。文字だけの説明でも通じる内容でした。ま、コイン式の駐車場ですから、そんなに難しいワケがないんですが。

 それでも描かれているこのイラスト。写真にまでおさめたのは、その画風が気に入ったからなんですねえ。フロントマスクの様子から、この車はBMWとわかります。しかもちょっと古い、80年代の5シリーズでしょうか。多くの車のフロントエンドがスラントしていた頃、ヘッドライトが奥目のようになっていたこのモデルは精悍でした。イラストで見ると、車体後部のようすはクーペというかハッチバック(実車には無いです)というか、そんな感じにも見えますが。

 しかも色が赤。そういえばBMW5シリーズは、純正色にソリッドな真紅があって、以前はたまに路上でも見かけたものです。高価で比較的大きな4ドアセダンに真っ赤、というのは日本車では無いですよね。最新のモデルはどうなのでしょう。というわけで、つらつらと考えてしまう、いい画風の看板であります。


#310「展開」

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新幹線のN700系

 すっかりおなじみなった新幹線のN700系です。でもちょっと曲線がこなれていないところ、もうお気づきですね。なめらかな先頭部分を構成するラインが、いくらか角ばっています。


N700系の中にゼリー

 これ、客席部分と運転席部分の境目をぐいっと引っ張ると、こうなります。おお。色とりどりのフルーツ味のゼリーが。ブラボー。私の大好きな甘味であります。ひとつ頬張ってみると、味と香りがじわっと広がる幸福感。いいです。ついもう一つ。2両目と思しき四角い車体もぐいっと引っ張ってみます。フムフム。こっちにもたくさんのゼリーが。と。ふと気になることが。この複雑な形状を表現するペーパークラフト。開いてみると展開図はどうなるのか。丁寧に箱をバラしていくと、こうなりました。


新幹線のN700系を展開

 やるなあ…。思ったよりも少ないパーツで、見事に運転席部分を表現。凝り過ぎでなく、省き過ぎもでない。絶妙な感じであります。この感じ、ニュース番組でも必要な感覚ですね。書いてて思いました。


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プロフィール

近野さんポートレート
近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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