2014年12月アーカイブ

#444「祭典」

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 2014年もあとわずか。年を経るごとに1年がたつのが早く感じるのは、本当だなあ、とつくづく思います。この1年を振り返ると、いろいろなことが有りました。ついこないだと感じるような出来事から、もう何か月もたっている...というのが信じられませんね。

 今回は年末ですので、ちょっと華々しい話題で行く年を送ろうかと存じます。 20141230-1.jpg
 市街地から車で30分ほどのところで、クラシックカーの祭典が行われたときの写真です。すばらしいお天気に恵まれた会場に着くと、ご覧の通り、おびただしい数の車が整列。クラシック、と言っても年代はわりに幅広く、私が興味をもって見られる1960年代~70年代の車も相当に並んでいました。

 これらの車は、近郷のオーナーが手塩に掛けて整備したピカピカのもの、そうでもないけどレアなもの、どっちでも無いけどなかなか面白いものと、個性もさまざまです。売りに出されているものも多く、真剣に見入っている人も多数。 20141230-2.jpg
 なかでもアメリカの車好きにとって永遠のアイドルが、フォード・マスタングです。数も多く、状態もさまざま。室内の様子などを見ると、そのオーナーのこだわりなども見て取れます。「マスタング」という意味は頑健な野生馬を指すようですので、確かにこの車のキャラクターにぴったり。来たる年はもうちょっとタフでしなやかな人生を送ってみたい方、まずはその名にちなんでマスタングに乗ってみるというのは如何でしょう。おなじみの道でもちょっと風景が変わって見えるかもしれません。

 本年も当コラムをご愛読いただき、誠にありがとうございました。

#443「動物」

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 ワシントンでは、11月最終週の「サンクスギビング」=感謝祭の前から、車の中でラジオを付けると、一日中クリスマスソングが流れていました。いろんなアーティストが歌っているんですねえ。クリスマスの「定番曲」でも、歌い手とアレンジが違うととても新鮮に聞こえます。 

 いっぽうスーパーの催事コーナーに至っては、10月のハロウィーンが終わった途端に、クリスマス関連商品がずらっと並んでいました。目でも耳でも、ずいぶんと長く「クリスマス感」を味わったような気がします。 20141223-1.jpg
 ということで、きょうの写真はクリスマスらしい1枚を。ワシントンから南に車で15分少々、ポトマック川の水運で古くから栄えてきた「アレキサンドリア」という街があります。ここの市街地は古く可愛らしい建物がずらっと並び、店に入ったり出たりしながらぶらぶら歩きするにはとてもよい雰囲気。この街で恒例の「スコティッシュ・クリスマス・ウォーク」という、パレードがあると聞いて見て来ました。

   揃いのキルトを着用した人達のグループが次々と歩いて行きます。同じ種類の犬を連れたグループ、乳がん予防の啓蒙活動をするグループ、学校のクラブ、などなど、必ずしも厳密にスコットランド風というわけでもないようですが、鈴なりの観客の前をにぎやかに歩く様子はとても微笑ましいもの。 20141223-2.jpg
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 そんな長い長いパレードの終盤に現れたのがサンタクロースですよ。子供たちにお菓子をふるまったりしています。いいですねえ。でもその乗りものたるや、ソリではなくてジャガーのオープンカー。エレガントなデザインが目を引きます。この車種の選択は「英国つながり」ということですね。なるほどなるほど。...サンタのソリといえばトナカイ。しかしこの日はジャガー。同じ「動物」でも、ずいぶんとワイルドになったものですねえ。ひらりひらりとしなやかに、スピーディーにプレゼントを配ってくれそうです。

#442「長大」

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 前回、鉄道模型展示即売の会場で、アメリカらしい高さのある「物件」をご紹介しましたが、きょうは「長さ」です。 20141203333-4.jpg
 会場には多くの「鉄道模型クラブ」が分割式のレイアウトをつなげて、大きな円を描くように列車を走らせていました。その規模は「数メートル四方」なんてのはザラで、10メートル以上の直線部分があるものも見受けられます。

 当然、そこを走る列車の編成も実車と同様にながーいのでして、この写真の貨物列車は1,2,3,4...と数えても40両目当たりからなんだか分からなくなりました。すれ違おうとしている列車も同様です。前回と同じ事を重ねて強調しますが、これ、日本でいちばんメジャーなNゲージではなくてHOゲージの模型ですから。模型でも数メートルの長さです。Nゲージでも40両以上連ねた貨物列車なんてなかなか走らせられませんよ。

 ワシントンの支局近くの線路でも、(ホンモノの)貨物列車をみかける機会がありますが、確かに例外なく、一本の編成が長いんですよね。ちょっと立ち止まって、通過していくようすを眺めてみようなんて思うと、いつになっても最後尾の車両がやってこない。

 鉄道好きとしては「動く列車をいつまでも見ていられる喜び」がある反面、「ちゃんと最後尾まで見とどけました」という(独りよがりな)満足感になかなかたどり着かず、それはそれで困ったものです。

#441「不動産」

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 ワシントン郊外で「鉄道模型」の展示即売会があったのでどんな様子か見て来ました。体育館3つぶんか4つぶんくらいある広い会場に、おびただしい数の業者が(おそらく個人も)ブースを並べていました。車両やレール、制御機器、ジオラマを作るための材料など、あらゆる商品が売られていれます。まぁこの国の鉄道趣味の深さと裾野の広さに驚きました。売る側にも女性の姿がちらほら。そして来場客のほうも単独の男性や家族連れのみならず、女性が意外に多い点が日本とは異なりますね。

 さまざまな商品を販売しているなかで、ちょっと気になったのがきょうの1枚です。

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 鉄道模型にハマると誰もが目指したくなるのが、リアルなジオラマ(鉄道模型の世界では「レイアウト」という言い方が主流です)の製作。駅や車両基地などを中心に、オフィス街や住宅地、田畑に山や川...。限られたスペースにさまざまな要素を作り込んでいきます。しかし。日本の場合には住宅事情の関係から、多くは「Nゲージ」と呼ばれる、線路幅9ミリの小さい縮尺で、畳1枚ぶんくらいで作れれば御の字。そこへいくとアメリカは一般的に住宅が大きいので、一つ大きな線路幅16.5ミリの「HOゲージ」が主流で、レイアウトの面積も大きくなります。当然、レイアウトに配置する建物もとても大きくなるわけです。

 写真のいちばん左にあるクラシカルな高層ホテルは、高さ1m以上ありました。模型なのに。価格は400ドルちょっと。まあビックリの大きさですよねえ。レイアウトを作るとき、このホテルだけをポツンと置くことは考えられず、他にも幾つかのビルを配置しないと全体の格好がつかないわけで、いかに大きなレイアウトを念頭にした商品かが伺えます。でも、このビルを買う人が居るんですよ。

 レイアウトという架空の街の不動産ひとつとっても、文字通りスケールが違うことを痛感させられました。

#440「紅旗」

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 早いもので師走です。アメリカで「師走」と言ってもちょっとズレている気がしないでもないですが、慌ただしいことにおいては同じかもしれません。どちらかというと、11月末のサンクスギビング(=感謝祭)からクリスマスまで、「ホリデーシーズン」としての慌ただしさ、かも知れません。街中にクリスマスソングが流れ、金色、緑色、赤色の飾りが...。さてきょうは、先月出張で訪れた中国の写真から。

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 どうですかこの車。北京でのAPECに参加した各国の首脳が乗っていたのがこれです。大きなボディにいささかクラシカルなマスク。かつて党幹部や要人を乗せていた「紅旗」のデザインを残しながら最新の技術で作ったものだ、といわれていますが、人目を引くことは間違いありません。

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 これは国際会議場の入り口で撮影したものですが、面白いのは、中国の記者や会議場で働く人々が、この車と一緒に写真に写るときのようす。友人や同僚にスマートフォンを渡して自分は車の傍らに佇むのですが、みんな必ず「これ、私の車」と言わんばかりにポーズをとるのです。日本の古い記録映像などでも、モーターショーの展示車とポーズをとる一般人、というのが見受けられますが、あれですね。

 中国に行ったのは3回目ですが、訪れるたびに北京の街を行く車の「平均価格」が上がっているんじゃないかと思わされます。乗用車の多くがドイツ、フランス(意外にシトロエンが多い)、日本車の最新バージョンで。問題は、運転マナーのほうが追いついていない感じであること。ほんと、コワイ思いも致しました...。

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プロフィール

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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