#441「不動産」

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 ワシントン郊外で「鉄道模型」の展示即売会があったのでどんな様子か見て来ました。体育館3つぶんか4つぶんくらいある広い会場に、おびただしい数の業者が(おそらく個人も)ブースを並べていました。車両やレール、制御機器、ジオラマを作るための材料など、あらゆる商品が売られていれます。まぁこの国の鉄道趣味の深さと裾野の広さに驚きました。売る側にも女性の姿がちらほら。そして来場客のほうも単独の男性や家族連れのみならず、女性が意外に多い点が日本とは異なりますね。

 さまざまな商品を販売しているなかで、ちょっと気になったのがきょうの1枚です。

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 鉄道模型にハマると誰もが目指したくなるのが、リアルなジオラマ(鉄道模型の世界では「レイアウト」という言い方が主流です)の製作。駅や車両基地などを中心に、オフィス街や住宅地、田畑に山や川...。限られたスペースにさまざまな要素を作り込んでいきます。しかし。日本の場合には住宅事情の関係から、多くは「Nゲージ」と呼ばれる、線路幅9ミリの小さい縮尺で、畳1枚ぶんくらいで作れれば御の字。そこへいくとアメリカは一般的に住宅が大きいので、一つ大きな線路幅16.5ミリの「HOゲージ」が主流で、レイアウトの面積も大きくなります。当然、レイアウトに配置する建物もとても大きくなるわけです。

 写真のいちばん左にあるクラシカルな高層ホテルは、高さ1m以上ありました。模型なのに。価格は400ドルちょっと。まあビックリの大きさですよねえ。レイアウトを作るとき、このホテルだけをポツンと置くことは考えられず、他にも幾つかのビルを配置しないと全体の格好がつかないわけで、いかに大きなレイアウトを念頭にした商品かが伺えます。でも、このビルを買う人が居るんですよ。

 レイアウトという架空の街の不動産ひとつとっても、文字通りスケールが違うことを痛感させられました。

2016年8月

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プロフィール

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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このブログ記事について

このページは、近野 宏明(こんの ひろあき)が2014年12月 9日 13:36に書いたブログ記事です。

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