2008年3月アーカイブ
何においても、ちょっとした「からくり」があると嬉しいというのが私の性分です。多くの男の子もそうでしょう。かつて男子小学生の机上には「3段式」「5段式」といったからくり満載の筆箱が置かれていたものです。オモテ・ウラ・ヨコ・消しゴム入れの引き出し、フタを開けると鉛筆削り…といった具合の、あれです。また男子小学生の必須アイテム「自転車」においても同様。変速ギアのレバーや、自動車顔負けのウィンカー、着脱式の自転車用ラジオ、などなど…。
ことほど左様に、かつてはからくり、アクションが多いのはいいこと、という時代があったのです。
「カチャッ」「ウィーン」「グルグル」などと何かアクションを加えるということが、男の子にはたまらない魅力なんでしょうね。その心地よさはしみついているのです。たとえその後の持ち物の趣味が「シンプルでプレーン」に移行していったとしても。
そこで今回。冒頭に掲載した1枚目の写真。写真で見るとタテヨコもパッと見ではわかりにくいのですが、列車の中の壁です。ここに「カチャッ」という一つのアクションを加えると…
あら不思議。トイレが出現するのですねえ…。すごいすごい。まあ実際の座り心地は普通の便座の右に出る物ではないにせよ、忍者屋敷のようなからくりの魅力がそれを凌駕しています。このからくりトイレ、実際に試したい方は寝台特急「北斗星」の個室にご乗車を。
気付けば3月も下旬。年度末です。もう来週には新年度が始まります。早いですねー。そこで今回は「どん詰まり」を象徴するこの1枚。
「車止め」です。ローカル線の行き止まりの場合、なんとなく藪の草に紛れて土と一体化して終わることもあります。あとは、レールそのものが前進する芋虫のように「Ω型」に「うにょっ」と上方に曲げられて終わるタイプ、レールを「△型」に組み上げるタイプなんかが基本でしょう。ただいずれも、万一列車が時速数十キロで走ってきたら「止める」ことは困難な気がします。
そこへ行くとこの写真のタイプはわりと強固な意志を感じます。「俺は止めるぜ!」という意志を。まあ車止めの先が買い物客の多い生活道路だから、確実に止めてもらわねば困るのですが。最近は電車の当たる部分に、油圧を利用したような「ショックアブソーバー」が付いたタイプも良く見受けられます。
線路はわりとあちこちに行き止まりが見受けられますが、我々は来月も行き止まりになるわけでもなく。お互い新しい年度もがんばって参りましょう。
いつも思うんですが、「ロマンスカー」ってすごいネーミングですよね。「ロマンス+カー」で「ロマンスカー」ですよ。つまりは「恋愛物語車両」ですから。
このたび、小田急は新しいロマンスカーをデビューさせました。 もちろん車両も快適なんでしょうが、その目玉は運行形態。初めて地下鉄線内に乗り入れるのです。北千住、大手町からびゅーっと小田急線に入ってきます。
平日は観光特急というよりも着席制の通勤ライナーという性格の運行です。下りの運転は本厚木止まり。しかし土休日は箱根湯本まで一気に健脚を飛ばします。でもね。土休日の利用者は行楽客だけ、とは限りません。平日休みの方も当然いるわけですよ。ということは、大手町あたりのオフィスでささっと仕事をして、午後2時59分のロマンスカーに乗る人だって当然、いるでしょう。
乗り込んだ瞬間、職場のアレコレはきれいさっぱり忘れて「ロマンスカー」です。たとえ隣席が自分と同様の休日出勤組のおじさんであっても。ああ、ロマンスカー…。
旧来の寝台列車がまた削減され、鉄道ファンとしての惜別の情がこみ上げているコンノです。しかし一度も乗ったことはなく、たまに早めの出勤をした際に、新橋駅のホームで上り列車を見たぐらいなので、大きなコトは言えません。
今回はその代わりに、毎朝毎晩この列車を見送ってきた駅員さんの思いをご紹介。 神奈川県は大船駅のポスターです。
この駅を利用している私の先輩からの情報です。大船駅、東海道線の下りホームの駅員事務室には、いつも駅員手作りのポスターが掲示されているそうです。今回は「銀河」への思いが綴られています。その文面は先輩をして「駅でのドラマ、その温かさには、感じ入るものがありました」と思わしめたのです。「銀河」の写真の下に書かれた文章、写真では小さいので書き写してみますと…
『駅員は、見ていました。
夏休み、銀河を降りた家族連れ。まだ眠そうな兄弟。(中略)
乗り換えは苦手だからと、お孫さんへのお土産を抱えたおばあちゃん。
仕事は忙しいから夜行にしたというOL2人組。
入試を受けにきたというリュック一つの関西弁の受験生。
いろんな人の想いを乗せた「銀河」を安全に送り出すことが誇りだった駅員も…』
先回書いたとおり、ここには幾つかの選択肢から「銀河」を「選ぶ」理由のある乗客の姿がはっきりとみてとれます。そしてそのお客さんたちをじっと見守っていた鉄道員の姿も。ドラマのある列車がなくなるというのは、やはり残念ですね。
59年間乗客を乗せ走ったブルートレイン“銀河”のラストラン→動画
すでに一般のメディアでも報じられていますが、東京・大阪間を毎夜走破していた寝台急行列車「銀河」が、きょう14日の発車をもって廃止されます。残念ですね。
きょうご紹介する写真は、廃止直前に乗車取材してきた
「リアルタイム」のT君が撮影したものです。
何においても、選択肢が多い、ということはいいことだと思うのです。そりゃ東京駅6時始発の新幹線に乗れば、8時半には新大阪に着きます。でもねえ。6時の新幹線に乗るには何時に家を出るのか、そして何時に起きるのか、それを考えるとどうも…。
「銀河」は下りの場合、23時に東京発です。仕事終わりでゆっくり食事して、お酒を飲んで、それから列車に乗り込んで。大阪到着は7時18分ですからきっちり車内で寝られます(鉄道ファンとしては寝てしまうことがもったいないという気持ちもありますが)。朝の梅田あたりで喫茶店に入り、ゆっくりコーヒーやら大阪名物ミックスジュースやらを飲んでから、一日を始められます。そういうゆとりある手段を選べなくなる悲しさ。単なる懐古趣味ではない実用性がこの列車にはあったのですがねえ…。
またも消防車両ネタです。とある古い埋め立て地。その一角に、消防車や救急車が集う場所があります。でもよく見ると、青いビニールシートがかぶせられ、車体のツヤも褪せてしまっています。きっと、退役した車両たちが集まる場所なんでしょう。一番手前の赤い小型の消防車には、車体に実在の地名を冠した消防団の名前が書かれたままです。長年地域を守ってきたはたらく車たち。おつかれさまです。
さて。以前本欄でご紹介した「消防博士」に聞くと、退役した消防車のたどる道にはいくつかのパターンがあるそうで。ひとつはそのまま廃車となり、解体される。もうひとつは発展途上国へ送られ、第二の人生を歩むというもの。鉄道車両にもそういう事例がありますよね。そしてもう一つ。「ゴルフ場などに売却される」というもの。これはどういうことなのか。聞けば、搭載しているポンプを活用して、散水車として使うということなんですって。もちろん私有地内なので、ナンバーを新たに取得する必要はありません。役所が定めた耐用年数を超えても、実際にはまだ使用出来るよう整備されてきたワケですから、じゅうぶん使えるんですね。私はゴルフをやらないのですが、みずみずしい芝を作るにあたっては、元・消防車も一役買っているのかもしれません。鮮やかな緑の上に赤い消防車。そのコントラスト、一見してみたいものです。
人類はいまのかたちの自動車にいったいいつまで乗り続けることが出来るのか。化石燃料を動力源とする以上、先が見えてきたことは自明の理です。それに変わるエネルギーをいま世界中のメーカーが模索しています。 きょうはそのひとつ。バイオ燃料を使ったバスです。バイオ燃料とひとくちに言っても、すでに技術革新は進んでいまして、これは「第二世代」のバイオ燃料を使ったもの。植物油などを水素化処理し、従来の軽油と同じ成分にした燃料を使っています。都営バスの新橋~渋谷間で2台がデモ走行をしていて、私は西新橋で見かけました。
見た目から判断するに、たぶん、この車両です。
この燃料、水素化処理とひとことで言いましたが、その精製技術が世界最先端。国内では初めての生産・使用です。この燃料を使ったディーゼルエンジンとモーターを併用する「ハイブリッド」でもあります。結果、二酸化炭素の排出は従来の25%オフ!東京都交通局のPRポスターも、控えめながら誇らし気ですよ。
こんなハイテクバスは世界広しといえど日本だけ。
バスマニアはぜひ東京・新橋にて刮目を!…まあ乗客の多くはそんなことに気付かないんですよね。「ハイテクを気付かせずに使う」というのは技術が成熟している証拠です。
東京ではことし新路線の開業が相次ぎます。今月末には都交通局が「日暮里・舎人ライナー」を開業させます。「ゆりかもめ」のようないわゆる新交通システムです。都営地下鉄の駅構内や車内にはそのPR広告が掲示されているのですが、きょうはその中からの写真。
新しい路線には起点、終点を合わせて13の駅があるのですが、その中の「西新井大師西」という駅が私の目をひきました。「西新井大師西」。関東三大師のひとつ「西新井大師」の西側に出来る駅です。西で始まり、西で終わる。
そういう駅名は他にも「西葛西」という駅が東京メトロ東西線にありますが、こちらは「葛西」の西にある駅ということで西葛西。命名のしかたとしては順当です。
ただ新井大師の場合は、そもそも基準となる寺の名前が「西新井大師」ですから、その西だとすると「西西新井大師」になっちゃうので、あえて「西」を最後にもってきたのでしょう。「西新井大師西」。ううむ。オツな駅名です。