#142「退役」
またも消防車両ネタです。とある古い埋め立て地。その一角に、消防車や救急車が集う場所があります。でもよく見ると、青いビニールシートがかぶせられ、車体のツヤも褪せてしまっています。きっと、退役した車両たちが集まる場所なんでしょう。一番手前の赤い小型の消防車には、車体に実在の地名を冠した消防団の名前が書かれたままです。長年地域を守ってきたはたらく車たち。おつかれさまです。
さて。以前本欄でご紹介した「消防博士」に聞くと、退役した消防車のたどる道にはいくつかのパターンがあるそうで。ひとつはそのまま廃車となり、解体される。もうひとつは発展途上国へ送られ、第二の人生を歩むというもの。鉄道車両にもそういう事例がありますよね。そしてもう一つ。「ゴルフ場などに売却される」というもの。これはどういうことなのか。聞けば、搭載しているポンプを活用して、散水車として使うということなんですって。もちろん私有地内なので、ナンバーを新たに取得する必要はありません。役所が定めた耐用年数を超えても、実際にはまだ使用出来るよう整備されてきたワケですから、じゅうぶん使えるんですね。私はゴルフをやらないのですが、みずみずしい芝を作るにあたっては、元・消防車も一役買っているのかもしれません。鮮やかな緑の上に赤い消防車。そのコントラスト、一見してみたいものです。