2007年4月アーカイブ
世の中、様々な注意を受けるものです。わけても「乗りもの」には注意が多い。「閉まるドアに注意…」「足元の点線まで下がって…」「電波を発する電子機器は…」などなど。
しかしこれはインパクトがあります。「床に座らないでください」。この写真、日本テレビ報道局きっての「鉄道好きカメラマン」が撮影したもの。JR九州の電車内ですが、福岡近辺の車両でのみ見られるようです。実際にペタっと座ったときの高さに貼ってあるのも、配慮が行き届いて?いますよね。
「電車内での地べた座り」、確かに東京近辺でもたまにみかけます。隣の車両に行くドアのあたりで。少し都心から離れたローカル線では、「床に座る」というハードルは低いようです(座るのにハードルが低いって…?)。部活帰り…という感じでしょうか?本人たちは何気ない行動なのでしょうが、周囲はちょっと引きますよね。公共の空間という概念が…などと言い出すと単なる繰り言になってしまうのでやめときますが。
このステッカーを貼らねばならぬほどに福岡の若者は疲れているのか?そして効果はあったのか?疑問は尽きません。
山手線のカラーは黄緑。中央線の電車はオレンジ。色と電車には密接な関係があります。とくに大都市圏では、路線ごとに色が決まっているので、乗り換え案内なども一目で分かります。
これが突然変わったらどうなるか。鉄道好きのあいだでひと頃ブームになったのが「ウソ電」と呼ばれる高度な遊びです。コンピュータの画像処理ソフトを使って、実際に存在する車両の写真を加工するというもの。ショッキングピンクの山手線とか、特急列車っぽいボンネットを別の車両に合成するとか。まあ様々な手法 で、「見慣れたもの」を変えていくのです。
多くは、マニア的知識があったほうが楽しめるのですが、
中には「ぷっ」と噴き出すようなものもあります。
きょう掲載したのはおなじみ新幹線ですが、あえて色を抜いてみました。皆さんだったら慣れ親しんだ色からどんな色に塗り替えますか?
旅先や出張先でも無い限り、私たちは実に何気なく電車を利用しています。朝の通勤ラッシュ時など、きっと多くの人は半分以上「無意識」だと思います。無意識に改札を抜け、無意識にいつもの車両に乗り、無意識に乗り換え階段を上がり…と。
そんな「慣れ」に起因する無意識下に、いつもと違う状況が現れると、びっくりするものです。
写真は東京メトロ丸の内線・新高円寺でのショット。
弊社の先輩が撮ったものです。何の変哲もない写真に見えますが。
よーく見てみましょう。
列柱の向こうに走る車両の帯の色は…オレンジ色。丸の内線の「赤」ではありません。そう。銀座線の車両が走っているのです。
「試運転」と掲出されたこの電車。計器類とにらめっこする職員の姿も見えたそうです。そしてホームには「あれれ?」という表情の乗客が何人もいたそうで。これなどまさに「無意識からの覚醒」でしょうね。
タネを明かすと、銀座線と丸の内線には赤坂見附付近に双方を結ぶ連絡線路があるのです。丸の内線(中野富士見町駅付近・茗荷谷駅付近)にある工場で、銀座線の車両点検整備も行われるので、銀座線の車両が丸の内線にお邪魔するのです。決して車体の赤い帯が色あせたワケではありません。念のため。
大都市の通勤に付きもの。
「ラッシュ」です。
東急は、4月5日にダイヤを改正。これにあわせて田園都市線で混雑緩和・定時運行をめざして新たな対策に乗り出しました。「準急」をデビューさせる、という作戦です。
時刻表の表紙にも一見、華々しい見出しが。
ま、実際の所は、本来は二子玉川-渋谷間では三軒茶屋しか止まらない急行列車を、各駅に停車させるというもの。悪く言えば「格下げ」です。この区間に限って言えば、10年ちょっと前まで走っていた「快速」と同じ停車パターンですね。
「急行列車に乗客が集中→三軒茶屋や渋谷での乗降に時間がかかる→後続列車はさらに遅れる」この悪循環を絶とうというのが狙い。
先行する停車を追い抜くことも無くなるので、
「乗客は目の前に来た列車に素直に乗る→列車毎の混雑が平準化される」という効果も期待できます。従来の急行に比べて所要時間は長くなりますが、イライラは少なくなりそう。
以前、この沿線に住んでいましたが、朝は急行列車なのにしょっちゅう駅間で止まるので、イライラしたものです。ひどいときは信号の関係か、通過駅のホーム付近で止まることもありました。急行通過駅のホームで各駅停車を待つ人にとっては、「なんだよー。急行がホームで停車するなら乗せてくれよ」と思うのは無理もありません。いずれにしてもイライラしたわけです。
根本的な解決にはつながりませんが、どういう結果となるのか。他の私鉄にも導入されるのか。興味がつきない「秘策」ではあります。
東海道線をはじめとする東京圏の普通列車のグリーン車。席の頭上にはこういうランプがついています。
緑ランプは、ちゃんとグリーン料金を払った区間を正しく乗っています、というしるし。赤ランプはそうではない、つまり「この人はこの区間のグリーン料金をまだ払っていません」という表示です。
ICカード「Suica」を用いた乗車方法。乗車前に券売機でSuicaを使ってグリーン券を購入します。でも「紙のきっぷ」は出てきません。Suicaに購入区間などのデータが記録されます。で、乗車したら空席を見つけて(普通列車のグリーン車は自由席なので)、前述のランプ横にSuicaをタッチ。これにて晴れて着席です。青ランプのついているあいだは利用OK。車掌さんに「お客さまっ」と起こされてビックリすることもありません。
問題のひとつは。Suicaだと、Suicaの所有者1人ぶんしか購入出来ないこと。ホームの券売機では磁気グリーン券(昔ながらの紙のきっぷ)が買えないので、夫婦で荷物が多くてゆったりしたいとか、子連れなので…といった、グリーン車を利用したい強い動機のある人が、ホームからわざわざ階段を上り下りして窓口まで行かなくては行けないというこの矛盾。
そもそも、たまーにしかグリーン車に乗らない人にとっては、事前にSuicaによる購入方法を調べたとしても、けっこう難しい…と思うむきが多いのでは。通勤などに毎日毎日使う方はいざ知らず。万人にとっての100%の便利と言い切れるのかなあ、最新ツールも諸刃の剣になることも。今から20年も経つと、その時代の最新ツールでアタマを悩ましている自分が容易に想像できます。
人は電車の中をどう過ごすのか。
多くの方にとって、ひょっとしたら移動時間が「苦痛」かもしれません。乗りもの好きなら、乗ってるだけでOK、なんですけど。電車の中で手持ちぶさたなとき…。以前ならば「本や新聞を読む」のがスタンダードでした。しかし昨今は携帯電話とにらめっこしている姿、増えましたね。
世間と隔絶された電車の箱の中で、じつは多くの人が外部とつながっている。21世紀ニッポンの通勤風景です。
そんな電車内環境に新たなメディアが。日本テレビのニュース専門チャンネル「日テレNEWS24」です。
今月2日からJR中央線の新型車両向けに、動画ニュースの配信を始めました。
先日の「乗りもノート」で紹介したあの新車です。
ドアの上にとりつけられたモニターで、最新のニュースをご覧になれます。配信されるのは、1分程度のヘッドラインニュース。1日に4回配信されることになっています。
桜の時期など、車窓をぼんやり眺めるのも良いもの。でも毎日乗ってる電車では、さすがに景色も見飽きちゃう。
そんなとき、日テレNEWS24。
中央線ご利用の皆さまがうらやましい。
乗りものの魅力は、スピード感。観光用のトロッコ列車や、古い路面電車のように、ゆっくりだから味がある、というものもありますが。多くはひゅんひゅんと後ろへ流れる展望こそ、その魅力と言えましょう。
で、今回の写真は富士山です。
言わずと知れた、小田急ロマンスカー。職場の先輩ディレクターが、家族で乗車したそうです。しかも「VSE」と呼ばれる最新鋭の列車(50000形)の最前部に。こんな特等席、ワクワクするなという方が無理、でしょう。
これから目指す麗峰が目前に拡がり、ぐんぐん近づく。そして都会の日常がどんどん後ろに飛んでゆく。お子さんたちは新宿駅にこの列車が入る時点で大騒ぎ。最前列に座ってまさに「かぶりつき」だったそうです。ことし35歳の私だって、最前列に座ったらそうします(恥)。
この列車の先頭車両の展望席には、以前に福澤朗さんもご家族で乗ったそうです。「いやあ近野くん、撮影ポイントのカーブとかホームの端には、カメラを持った鉄道ファンが必ずいるんだよね。驚いたなあ」と話していました。でもね。驚くのは彼らだと思いますよ。だって、写真をプリントすると、そこには福澤朗さんの笑顔が…。いやビックリでしょう。
春。新年度です。東京は爽やかな陽光で4月を迎えました。いいですね。そこできょうの乗りもノートも「新」つながり。
この電車。
新しい中央線の
車両(E233系)
です。
乗りもノート#002で書いたとおり、私の実家のすぐ近くに電車の工場(新津車両製作所)があります。
その外れに、旅立ちを待つこの新車が。いずれ野を越え山を越え、大都会へ向かうのです(もう都会の一員になっているかも)。その直前の姿ですね。
私がこの町を出たのが16年前の春(うわー)。来年には新潟で過ごした日々と東京に出てからの時間がちょうど同じ、半々になります。この春も多くの人たちが、それぞれの新生活を始めることでしょう。東京に引っ越してきたひとは、いま満開の桜をどんな思いで眺めるのでしょう。希望と夢と。ほんと、新生活っていいものですね。
この電車も、今頃は四谷の土手あたりで、ずらりと並ぶ桜と一緒に、誰かのカメラで写真に納まっているかもしれません。