2006年11月アーカイブ

#005 『 リサイクル 』

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  冒頭はちょっと尾籠な話です。お食事中の方、時宜を改めて読んでください。

  先日、外出先で急な「急降下」に襲われて駅のトイレに入ったときのこと。ふと壁のペーパーホルダーを見ると、
このトイレットペーパーは使用済みのきっぷをリサイクルしたものです
と書かれています。
ははぁ…、きょう自分の使ったきっぷも、いずれここに収まるわけだ。
痛みの差し込むお腹
を押さえつつ、そんなことを考えました。

 鉄道各社のサイトを見ると、今やどの社も「環境問題へのとりくみ」といったページを設けて、自社の環境対策をアピールしています。
なかでも「きっぷ」は多くの社で別のかたちに生かされているようです。
もともと上質の紙ですから、リサイクルするポテンシャルが高いのでしょう。
トイレットペーパー
に変身するのは東急や京王、阪急や近鉄など多数の会社で。
JR東日本では段ボール名刺に。
JR西日本や近鉄では、壁材の原料にも活用。含有する鉄粉がコンクリートと付着しやすい性質を生むそうです。

 山陽電車は、使用済みの切符から作った「切符炭」を販売中。1100度の釜で45時間蒸し焼きのうえ炭化処理。木炭よりも脱臭剤としての効果は高いと言うふれこみです。
饐えた電車の臭い、とくに酒やタバコの入り交じった人いきれのあの臭いが苦手、という「乗りもの好き」にあるまじき癖のある私。この「切符炭」を電車内のあちこちに置いて欲しいぐらいです。


#004 『 寒くて、暑い 』

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 立冬を過ぎ、東京もいよいよ気温が低くなってきました。この時期、朝自宅をでるときは肌寒いのでコートを羽織りますが、いざ電車に乗ると、ムンとする暑さや人いきれのにおいにクラクラしてしまう時があります。加えて、車内のあちこちに風邪をひいている方も多い時期。この淀んだ、ストレスに満ちた、もわっとした空気を何とか一掃したいっ!と思うことはしばしば。



 

 しかし昨今の電車は窓が開かないものが多く、この願望が叶わないんですね。新橋駅を行き来する通勤電車も、そのタイプが多いようです。しかし京浜東北線の209系では、「手術」が行われつつあります。登場以来10年以上、「はめ殺し」窓のスキッとしたデザインだった銀色の車両。その大きな窓を分割したうえで、一部分が開くように順次改造されています。窓のデザインは損なわれますが、トラブルの際にエアコンの利かない密室になるのを避ける狙いがあるようです。



 もちろん緊急時の換気口としての機能はありがたいもの。さらに、この寒さと暑さが同居する時期にこそ、すこーしだけ新鮮な外気を入れるのに使いたい。窓の開かない他の車両も改造を進めて頂きたいところです。しかしいざ開けるとなると、周囲の目も気になるんですよねえ。自分がこの車両の空調担当を買って出ていいのか?「おいおい、開けるのかよ」と心の中で思っているひとはいないか?不快指数と自意識とのせめぎ合いはしばらく続きます。


#003 「 乗りもの好きの性(さが) 」

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  乗り換え案内サイトで検索するとき、殆どの方は「所要時間が短い」ことを優先して調べると思います。というか、それが世間では普通です。しかし乗りもの好きというのは困ったものです。「長く乗っていたい」という欲求も強いのです。
  とは言っても、朝夕の通勤に乗る満員電車はごめんです。「長く乗っていたい」傾向が顕著になるのは、例えば時間にゆとりがある長距離の旅。滅多に乗らない寝台列車など、自分のベッド周辺のみならず、ロビーカーだの別タイプの寝台車だの、一通り見たくなるもの。あげく、寝台列車なのに寝てしまう(=いつの間にか到着する)のも勿体ない!となるようです。となると、乗車時間が長いに越したことはない、となるわけです。しかしトシのせいか、乗りもの好きの私でも、最近は長時間の乗車やフライトはきつくなってきました。
  それでも「もっと乗っていたい」と思ったのは去年のこと。出張先の広島から飛行機での帰路でした。出発直前に席を取ったため、我々の席はいわゆる「スーパーシート」。しかし乗り込むとそこに広がっていたのは、窓4-5つぶんを独り占め出来るカプセル型のファーストクラス用のシート。たまたま、国際線用の新しい機材を使ったフライトだったようです。みっちり取材して疲れた体にはうってつけ。ベルトサインが消えるや、シートをベッドのように水平に倒して泥のように睡眠…。しかしつかの間の幸せも1時間ほど。「なぜ気持ちよく寝ているのに起こすのか?」とクルーを恨めしく思ったものです。追加料金を払ってでも、もう一回りして欲しい。乗り物好きはそう思うのでありました。


#002 『 乗りもの好きへの道 』

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 齢34にして、なぜ私が乗りものコラムの欄を持つに至ったか。振り返ればそこには長い道程があったのです。
 何と言っても生家のロケーションつまり「地」です。新潟県新津市(現・新潟市)の窓からは、JRの線路やそれを跨ぐ国道の陸橋がよく見えるのです。
 そもそもこの新津市という地名、鉄道好きなら知っている方も多いはず。JR3線が交差するジャンクションの街なんです。鉄道車両の製造・修理工場や鉄道資料館まで揃っています。祖父は国鉄職員父も鉄道関連の仕事に就いていました。あ、「地」と「血」のようですね。

 自ずとまず鉄道に馴染み、寝床に届く通過音でどんな種類の何両編成の列車かを聞き分けられるほどに。同じ頃、両親から買ってもらった自動車のアルバム、ディーラーでもらうパンフレット、大量のミニカーを使ってすべての国産車のスペック暗記。3歳の頃には、ドライブのさなJR3線が交差するジャンクションの街かにすれ違う車すべての名前をきちんと言い当てられたのです。まあ長いあいだ自動車や鉄道の本を眺めて飽きない(若干インドア気味な)こどもでした。

 しかしそれが長じて、こんな仕事も出来るようになるのですから、趣味はどこでどう生かされるか、全くわからないものです。


#001 『 口上 』

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  はじめまして。近野と申します。「乗りもの好き」です。
縁有って、こちらのサイトにお邪魔して「乗りもの」に関する考察を深めていきます。…それほどの深みは、きっと、無い、と思いますが。
時にはマニアックに、しかし時には「ああ、私も気になってた」「ホントそうだよねえ」と頷いて頂けるように、乗りものにまつわるあれこれを綴ってまいります。

  こういうサイトではありますが、あえて、ユーザー層に関する情報は聞いておりません。誰もが「乗りもの」やその周辺にご興味をお持ち、というわけではないでしょう。しかもどの程度じっくり各ページをご覧になるのかも分かりません。とりわけ乗り換え案内のユーザーは用が済んだらあっという間にパソコンを閉じてしまうかも…。
少しは寄り道する甲斐のあるページにしていくつもりです。
  
テーマは鉄道、自動車、航空機が主となる予定です。乗りものそのもの、は勿論ですが、乗りものに関連する人々、施設、サービス…。
素材は沢山あります。普段はニュースの仕事をしておりますが、ここでは「いち乗りものファン」として、素のまま感じたままをしたためます。終着点はどこになるのかまったく見えないのが問題ですが、とりあえず、
出発」。


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プロフィール

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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