#003 「 乗りもの好きの性(さが) 」
乗り換え案内サイトで検索するとき、殆どの方は「所要時間が短い」ことを優先して調べると思います。というか、それが世間では普通です。しかし乗りもの好きというのは困ったものです。「長く乗っていたい」という欲求も強いのです。
とは言っても、朝夕の通勤に乗る満員電車はごめんです。「長く乗っていたい」傾向が顕著になるのは、例えば時間にゆとりがある長距離の旅。滅多に乗らない寝台列車など、自分のベッド周辺のみならず、ロビーカーだの別タイプの寝台車だの、一通り見たくなるもの。あげく、寝台列車なのに寝てしまう(=いつの間にか到着する)のも勿体ない!となるようです。となると、乗車時間が長いに越したことはない、となるわけです。しかしトシのせいか、乗りもの好きの私でも、最近は長時間の乗車やフライトはきつくなってきました。
それでも「もっと乗っていたい」と思ったのは去年のこと。出張先の広島から飛行機での帰路でした。出発直前に席を取ったため、我々の席はいわゆる「スーパーシート」。しかし乗り込むとそこに広がっていたのは、窓4-5つぶんを独り占め出来るカプセル型のファーストクラス用のシート。たまたま、国際線用の新しい機材を使ったフライトだったようです。みっちり取材して疲れた体にはうってつけ。ベルトサインが消えるや、シートをベッドのように水平に倒して泥のように睡眠…。しかしつかの間の幸せも1時間ほど。「なぜ気持ちよく寝ているのに起こすのか?」とクルーを恨めしく思ったものです。追加料金を払ってでも、もう一回りして欲しい。乗り物好きはそう思うのでありました。