2015年7月アーカイブ

#465「簡素」

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 アメリカでバイクというと、多くの皆さんがイメージするもの、何でしょう。...そうですよね、ハーレー・ダビッドソンです。低いシートに上体を起こして座る、肩と同じ高さのハンドル、太いタイヤ。ドッドッドッというエンジン音。見た目も激しくハードボイルドなライダー。というのが、標準ですが。

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 そんなアメリカで、こんなシンプルなバイクを見るととても新鮮に感じます。おそらく250CCぐらいだと思われるので日本では立派なサイズですが。この国では「小兵、すいすいと走る」ささやかさがイイですね。

 日本でもバイクの"はやり廃り"がありまして。ひところはサーキットにそのまま出られそうなレーサーレプリカが全盛、その反動でネイキッドと呼ばれる簡素なデザインが幅をきかせる、などなど。私が学生の頃はネイキッドなモデルを各社が出していて、CB400なんか学校でよく見かけたものです。そういえば、バイクの免許の保有率って当時は高かったんじゃないでしょうか。私は免許を持っていないのですが、近所に住む同級生のバイクの後ろに乗って大学まで行ったなあ。

 この日、タクシーに乗っていてふとみかけた写真のバイクにグッときたのは、20年以上前のことを思いだして懐かしさを覚えたからに他なりません。簡素なデザインなれど、たたえる思い出は豊潤です。

#464「回転」

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 仕事が終わったあと、支局の近くを同業他社の仲間とジョギングしました。時刻は完全に夜ですが、サマータイムのおかげでまだ明るいので、時間は有効に使えます。トコトコ走って、ワシントン中心部、「モール」と呼ばれるぶち抜きの公園の中を連邦議会に向かって抜けて行くと、懐かしい遊具が見えてきます。メリーゴーラウンドです。

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 クラシックな、昔ながらの、という形容がぴったりなこの遊具。懐かしいですね。しかし最後に乗ったのはいつでしたか...。この日はもう営業を終わったあとでしたが、日中は大勢の子どもたちでにぎわいます。穏やかで、ささやかな、平和な日常、といえる光景でしょう。

 しかし、このメリーゴーラウンド、アメリカの社会史と密接なかかわりのあるメリーゴーラウンドなのです。「ワシントン・ポスト」の記事によると、1940年代に作られたというこのメリーゴーラウンド、かつてはメリーランド州の遊園地にありました。当時そこは他の多くの遊園地と同様に白人専用でした。乗ることはもちろん、入ることも出来ない遊園地。社会のあらゆる場面に厳然と存在した人種差別に立ち上がった人たちの粘り強い活動により、ようやくあらゆる人々に門戸が開かれたのは、つい50年ちょっと前のことです。

 子どもたちの無邪気な声とは対極にある差別の歴史。このメリーゴーラウンドは、首都のど真ん中で、そうした時代といまを結びつけながら、きょうもぐるぐると回っています。人種をめぐる事件がなお後を絶たず、この問題が過去のものとなっていないアメリカで、私もさまざまなことに考えをめぐらせます。

#463「相性」

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 アメリカという国のモータリゼーションは、日本にずーっと先駆けて訪れていました。T型フォードの大ヒット、それに続くさまざまなメーカーの勃興と隆盛。第2次大戦前には庶民が車を手にしていたわけです。当時の日本とは明らかに国力の違いがあることを、つくづく思わされます。

20150714-122.jpg  きょうの一枚は私の好きなもの2つ。ソフトクリームと古い車の写真です。写真に写っている車から推測するに、1940年代の初頭ぐらいでしょうか。後ろにスペアタイヤを仕込んだこのスタイル。ちゃんと滑らかな線で構成された素敵な乗用車です。まだ小ぶりに見えますが、戦争がおわると一気にサイズは拡大の一途をたどります。車が群がっている店が、後ろに見えるアイスクリームチェーン。すごいですね。この時点で庶民が車でアイスクリームの店に押しかけているのですから。やっぱり国力の違いが否めません。

 それにつけても、車とソフトクリーム。相性良すぎです。バンパーやフェンダーにちょこっと腰掛けて、ペロッと。

 かつて私の母校・早稲田大学のすぐ近くにもこのお店がありました。アメリカに来て2年あまり。行きつけのスーパーのすぐ近くでこのチェーンを今さら発見し、久しぶりにソフトクリームを食べてみましたが、びっくりしたのはその大きさ。ミディアム、というのを頼んだらこのサイズです。おなかいっぱい。早稲田の店でよく食べていたのは日本においても小ぶりでしたので、やっぱりアメリカです。車もソフトクリームも、大きい...。

 (このソフトクリームを手にしたようすを「自由の女神」と評する方がいました。撮った本人は無意識でしたが、やはりアメリカ)

#462「絵画」

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 ワシントンは夏真っ盛りです。5月最終週の「メモリアルデー」という祝日から夏が始まるとされていますが、6月も後半には真夏の風情です。すでに夏至は過ぎ、独立記念日も過ぎましたが、まだ20時半過ぎまで明るいので、人々の余暇活動も自ずと活発な時期が続いています。

20150707-12222.jpg  きょうは、ワシントンから車で1時間ほどのところにご案内。バージニア州の北部は数え切れないほどのワイナリーがありまして、いい味を競い合っています。この写真もそのひとつ。森を抜けると駐車場。その向こうに広々としたブドウ畑が緩やかな斜面に広がります。盛夏といえど、こういうところに来ると空気がやっぱり爽やかなのです。ワシントンの市街地など、東京に比べればずいぶん人も車も少ないですが、それでもこういう郊外に来ると、空気がおいしいなあ...と思うばかり。

 そんなところにこのカブリオレ。とてもよく似合います。欲を言えば、屋根を開けたまま駐車しておいてくれればなお良かったのですが。まあそれでも、ちょっと洒落た車と緑の組み合わせは本当に絵画になりそう。絵心をくすぐられますが、絵の具も色鉛筆も持参していませんで、写真にてお許しください。

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プロフィール

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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