2015年2月アーカイブ

#452「続落」

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 デトロイトのモーターショー、今年の主役は大型のピックアップトラックや高級乗用車でした。私はデトロイトに行けなかったので、ワシントンオートショーでの写真を少々...。

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20150224-2.jpg  アメリカを象徴する自動車の型式が「ピックアップトラック」ですが、日本で乗るには実寸もエンジンも大きすぎる、ということは当然、燃費だってそんなに優秀ではありません。最近はエンジンをはじめとするさまざまな技術の向上で、燃費性能も上向いてきていますが。

 しかし。世界的な原油安は自動車大国のガソリン価格を大幅に引き下げつづけています。私のアメリカ滞在はまもなく2年になりますが、最初の1年半ぐらい、ガソリン価格は1ガロン3ドル20セント~3ドル80セントぐらいの幅でした。

しかし!昨夏以来どんどんガソリン価格は続落し、いまや1ガロン=2ドルを切るところも。ざっと40%~50%も下がったなんて、給油する度にビックリです。車の複数所有は当たり前、できれば大型車を持ちたいというアメリカ国民。このガソリン安で大型ピックアップの人気がやっぱり上がるという、分かりやすい展開になっています。

 世の中、ハイブリッド、FC、EV、と涙ぐましい燃料節約の努力をしているんですけどね...。大きい車でも燃料を1滴たりともムダにしない技術、どんどん導入してください。

#451「続・FC」

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 燃料電池車が消費するのは水素と酸素です。水素は堅牢なタンクに溜めて走るわけですが、その「スタンド」と「給油口」ならぬ、「給水素口」がこちら。

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20150217-2.jpg  見慣れたガソリンのスタンドや、給油口とほとんど変わらないように見えます。勿論、非常に燃焼・爆発しやすい特性を持っていることに鑑み、その安全性は念には念を入れてあります。自動車の場合には「衝突事故」というリスクがつきものですから、とくにタンクの安全性は重要です。市販車ですからいったん売ってしまうと、定期点検のほかは基本的にはユーザー任せです。ユーザーが通常考えられるどのような使い方をしても、安全を担保できるというのは、考えてみるとすごいことです。

 いま、自動車の世界では事故を避けるため、自動運転の技術が急速に進化していますが、「衝突を避ける」「衝突しない」ということは燃料電池車にとってはいっそう重要な技術になると思われます。

20150217-3.jpg  さて、ドライバーズシートに座って、目に見える範囲をひととおりチェックして気付いたのがこの左から2番目のボタン。「水」を意味します。燃料電池車が外に出すのは水だけですので、トヨタの方に「排出する水となにか関係あるんですか?」と尋ねると、「このボタンを押すと、溜まっている水を一気にぜんぶ捨てるんです」とのこと。「??」水は走行中に定期的に排出するハズですが。 「例えば水で濡らしたくない場所で...」「あー、自宅の車庫の中で排水したくないときとか?」「ええ、そういうことです。例えば、ゴンドラ式の立体駐車場で、車を停めたあと、ぽたぽたと落ちた水が下のゴンドラの車を濡らさないように、あらかじめ捨てきってしまうという...」

 なんという気遣いでしょう。きっとそういうシチュエーション、実際使ってみるとほかにもあるんでしょうね。日本の交通事情、駐車事情を知り尽くしたうえでのスイッチ。水を捨てきるなんて、とてもステキです。

#450「FC」

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 燃料電池の頭文字で「FC」です。サッカーチームではありません。念のため。

 先日ワシントン市内で開かれた「オートショー」をサーッと見て来ました。お目当ては、市販が決まったトヨタの燃料電池車「MIRAI」です。アメリカ東海岸でお披露目されるのは初めてということで、興味津々。会場に向かうと、あっさり建物の前で発見してしまいました。

20150210-1.jpg  試乗用の車が静かにスタンバイしていたんですね。まだ朝早いせいか、殆ど人通りもなく、この車がどんなにスゴイか分かって覗き込む人はいません。これでワシントンの街並を走ったらどんな心持ちになるのか。車好きの想像は膨らみます。

 ボディはショルダーラインより上が明確に一段絞られていること、フロントライトから繋がる線やリアフェンダーの線が深めに刻まれて陰影がハッキリ見えることもあり、予想したよりもシャープでスリムに感じます。

20150210-2.jpg  でも色が変わると印象も変わるもので、白いボディは量感が出て見えます。会場のライティングもあり、落ちついて感じられます。最近の車に多く見られる特徴として、バンパーの左右端にエッジの効いたフォグライトユニットを置いたり、エアインテークを置いたりするデザインが増えていますが、このエアインテークのインパクトはなかなかですね。先月発売されたヴェルファイアも同じ文脈の感があります。

 さらに気になる中身は次回...。

#449「逆転」

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 ワシントンには実にさまざまな博物館があります。「中央駅」と言うべきユニオンステーションのすぐ隣には「郵便博物館」もあって、ここは切手愛好者にはたまらない殿堂となっています。膨大な切手のコレクション、郵便の歴史や、歴史を彩った手紙などの展示は勿論、郵便にまつわる割と大きな「現物」もありました。そのひとつがこちら。

20150203333.jpg  アメリカでよく見かける郵便配達車です。いくつかの特徴があります。ひとつは「アメ車」にしては小柄なこと。狭い住宅街(ってそんなに無いんですけど)や都市部の路地でもすいすい入れます。そしてもう一つは、写真でも分かります。車内をよく見て下さい。ハンドルの円い影が、右側座席にあります。そう、右側通行なのに右ハンドルなんです。

 なんとなれば、各住宅のポストは日本のように奥まったところの玄関横ではなく、敷地のいちばん端、車道に面したところにぽつんと立っているから。郵便配達のひとは、右座席で車を操り、下車することなく窓から手を伸ばしてポストに直接郵便物を届け入れます。仮に下車するにしても、右ハンドルなら路肩の歩道や建物にダイレクトに降りられます。なるほど合理的です。こういう機能に徹したところ、さすがに「はたらく自動車」です。

 ちょっとトボけたフロントマスクもいいですね。

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プロフィール

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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