2014年5月アーカイブ

#417 「センター」

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 センター、と言いますとこの数年はアイドルグループの周辺でよく耳にするわけです。文字どおり、真ん中。今回はワシントンの公共交通機関のセンターをご紹介します。

20140527-1.jpg 20140527-2.jpg  こちら、私たちの支局からも程近い「Metro Center」の駅であります。3つの路線が交差する、Downtownの中心駅でありまして、東京で言えば...大手町駅でしょうかね。多くのお客さんがこの駅で乗り換えます。

 東京・大手町の駅は、詳細な地図で見るとおわかりの通り、平面図では5路線が正方形のような形を作っていまして、中心駅と言っても、その「中心駅の中心」がどこなのか、判然としません。さらに、東京メトロのウェブサイトを見ると、駅の立体図も掲載されていまして、これを見るとますます分からなくなります。逆に、それにしてもよくこんな複雑な構造の駅を順次掘っていったものだと、感慨すら憶えます。

 しかるに、このメトロセンター駅、写真のとおり「センターがここ!」と一目瞭然です。線路が十字状に交差する場所の天井の文様が、誰の目にも「センター感」を示しています。天井の文様の中心点の真下に立つことはできませんが、「自分はいま、ワシントンの(ほぼ)中心にいる!」と実感できやすい。名称と視覚をきっちり関連づけたと、なかなかオツな駅だと思うのであります。

 ...問題は、中心駅とは思えない運転間隔の長さでして。休日など15分や20分待たされることがザラにあります。こればかりは日本の地下鉄にかないません。

#416 「転身」

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 「この道ひとすじ」という人も、いつかは引退するときがやって来ます。それまでの仕事に区切りを付け、次のステージに切り替えていきます。会社務めの人であればスーツに身を包む生活をやめ、もっとくだけた服装の毎日が待っているかもしれません。技術系の人であれば作業服、医療・研究系の人であれば白衣...。それぞれの仕事で長年馴染んだ出で立ちを改めて、転身していくわけです。

元・パトカー  しかるに。転身したはずなのに衣が脱ぎ捨てられていない例も見受けられまして。それが今回ご紹介するこの車です。出張に出る際に、ワシントンのダレス国際空港の駐車場で見かけたこのセダン。誰がどう見ても、「元・パトカー」です。もちろん、いわゆる赤色灯は取り外され、ドアにプリントされていた警察の紋章は塗りつぶされるなどしていますが、この車を遠目に見つけたら、現役かどうかは区別が付かないでしょう。

 ワシントンに暮らして「へぇ」と気づいたことの一つは、「元・パトカー」がけっこう走っているということ。写真の「フォード・クラウンビクトリア」というセダンにはもともとパトカー仕様のバージョンがあり、警察での役目を終えると民間に払い下げられるんですね。運転席側のドアミラーのあたりに、「現場」を照らす「お玉」のような形をした投光器が付いたまま走っているのをよく見かけます。もちろん車体は全面的に塗り直しているのが普通ですが。

 この1台はまだ「転身」しきれていないのか。引退したはずのお巡りさんが、肩章や名札を外しただけの制服を着て出歩いているような感じです。これから何色の服に着替えるのでしょうか。

#415 「堂々」

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 ワシントンはあんなに寒くて長かった冬がようやく終わったと思うと、あっという間に夏が近づきます。「初夏」や「梅雨」が無いこともあり、春が短くて夏が長い印象です。うかうかしていると半袖の季節がすぐそこに。きょうの写真は「ゆく春を惜しむ」かのようなこの1枚です。

20140513-.jpg  先月の桜の時季、ワシントン中心部の「モール」と呼ばれる、博物館や国家的モニュメントを数多く抱える大きな公園でのショットです。この日は桜を見るために歩いていたのですが、人々のしゃべり声とそよ吹く風の音だけが聞こえるのどかな場所に、現れたのであります。この1台が。「どどどどどどどど」と、独特の太いサウンドを響かせながらやって来たのは警察のバイク。

 このときカメラを構えた私の後ろには、巨大な「ワシントン・モニュメント」というワシントンを象徴する石塔があるのです(写真中央の投光器は夜間にモニュメントをライトアップするものです)。このバイクはその周辺警備に携わる警察官なのでしょう。

 それにしても、この白バイが走る道は私の認識では「歩道」でして、このあと私の歩く道で合流。そこには多数の観光客が。バイクはクラクションを鳴らすでもなく、きわめて悠然と、時速2~3キロぐらいの超・超低速で走り(...と言うには遅すぎる)抜けて行きました。歩道なんですけどね。

まさに威風堂々。子どもの足よりゆっくりと動きながらグラリともしない安定感。そしてエンジンの音だけで海が割れるように人波がさーっと分かれる威厳。バイクの性能と警察官の腕と、警察の権威が三位一体となった瞬間でありました。しかし我ながら、この写真、青い空、薄紅の桜、緑の芝生に映えるバイク...。見事な一枚じゃないでしょうか。(...遠慮がちながら堂々と自画自賛...)

#414 「騎馬」

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 もう何十年も前、こどもの時分に読んだ「乗りもの」の本では、だいたい最初のほうに「のりもののれきし」みたいな項がありました。当然、その歴史は現代に近づくにつれてイノベーションの早さが増してきて、この100年ちょっとのあいだに、凄まじい進化がみてとれるわけであります。いっぽうで、遡っていくと、石油や石炭を燃やして動力を得ることのない時代には、「乗りもの=生きもの」だった時代がずーっと続いていたのですよね。

20140506.jpg  先日、桜の咲いていたころに散歩に出ると、ホワイトハウスの前には写真のような騎馬警官の姿がありました。写真の左後ろに白い建物、見えますね。この日は折しも観光客が沢山いる日で、私も含め、多くの人が順繰りに写真を撮るのです。馬は涼しい顔して、おとなしくしています。賢いですね。

 馬上の警察官が手にしているのは、スマートフォンでした。まさかとは思いますが、「ナビゲーション」のアプリだったりしたら面白いのですが、何を見ているのかは分かりません。

20140506-2.JPG  その数日後、こんどは支局の近くを闊歩する2頭の馬。そうそう、前回ホワイトハウス前で目撃したときに思ったのが、「この馬と警察官はどこから来たのか」という点でありました。すぐ近くには厩舎などは見当たらないので、どこかからやって来るのではないかと見ておりましたが、このときも写真を撮るのが精一杯で(お察しのとおり、カメラを出すのに手間取るうちに、馬に追い抜かれた)、「どこからやって来たのか」は質問出来ず...。つぎのチャンスを狙います。


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プロフィール

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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