#330「待機」
前回に続く「前後対称」のフェリーについて。船着場で発着のようすをみていると、飽きません。手際よく車はガタゴトと渡り板を渡って船内へ。人はゆったりと降りてきます。船は非日常にあらず。完全に「生活」の一部と化しています。だってよく見てください。赤いボディの郵便車が乗ってるでしょ?
面白いのが、船内での待機のしかた。乗ってからものの数分で下船するわけですから、郵便車をはじめ車のドライバーが車から降りないのは当たり前。何よりおかしいのはバイクや自転車の面々。船着場で船のおしり(陸側)から乗り込むや、船内を縦に突っ切って、海に面した前方へ。そして船が目的地に着くまで、バイクや自転車に跨ったまま、その出発や到着を待つのです。横一線に並び、スタートを切ろうというその姿がなんとも面白く映ります。
で、船が対岸に着いて、目の前の渡り板が陸と自船のあいだに渡されるやいなや、一斉にダッシュしていく二輪車たち。壮観です。あれは一頃の中国・北京あたりの自転車ラッシュを思い起こさせる、二輪車の名場面、と言っていいでしょう。