#295「動力源」
世の中「ハイブリッド」「燃料電池」と新しい動力源が注目されていますが、やっぱり根元は「人力」でしょう。二酸化炭素の排出もきわめて小さいですし。
人力車が復権するとしたら、どんな世の中なのでしょう。人力車の速度は人の走る速度ですから、時速10キロぐらいか。となると2時間も3時間も走るわけにはいきません。おそらく半径5~10キロぐらい、というのが人力車生活には適正な生活圏、と言えましょう。
考えてみると江戸期から明治にかけての東京は、今に比べるときわめて小さい範囲でした。いわゆる下町部分がほとんど。「本郷もかねやすまでは江戸の内」との川柳がありましたが、本郷の台地あたりまでは江戸の内でも、新宿・渋谷などはまったくの「都市外縁」。落語「目黒のさんま」でもお殿様は目黒で「狩猟」をしたぐらいですもんね。
かつての東京というのは、人力車に相応しいサイズの街だった、というのは十分うなづけます。それにしても写真の人力車。ずいぶんと長いこと走っていたのか、すっかり緑に覆われて…。