#294「ぶどう色」
山手線のホームに「阪急電車」が滑り込んできたような錯覚を覚えました。ツヤツヤのボディはいかにも塗り替えられたばかり、という印象を与えます。
東京の環状の大動脈、山手線は1909年に「山手線」と名付けられました。それから100年。最初のカラーリングに近い色に1編成だけ塗り直され、月曜日からぐるぐると走っています。1編成しか無いのに、私はこの1日だけで2回見かけました。もちろんずっとホームで張っていたワケじゃないですよ。
ところでこの色、各メディアでは「チョコレート色」と表現しています。今回の復刻調ペイントには「チョコレートの明治」のロゴが入っているのでなおさらのこと、しかし、正式には「ぶどう色2号(さらに古くはぶどう色1号)」という色です。今でこそ電車の色はとりどりですが、旧型車両の色といえば、この「ぶどう色」と決まっていましたね。改めて見ると、ずいぶんと渋い「ぶどう」ですなあ。阪急の電車もそうですが、明るく鮮やかな色に慣れた目で見ると、こういう渋めの色というのはなかなか新鮮。大人の色といいましょうか。
チョコレートとぶどうと電車。一分の隙もない取り合わせです。甘党で果物好きで電車好きの私に取っては(笑)。