#253「食事時」
東京から西へ旅立つことをイメージしてみてください。新幹線で。時刻は正午前。お昼ご飯に弁当と飲み物を買って乗り込みました。定刻通り新幹線が出発。景色はあなたの後ろへとぐんぐん流れていきます。
さて。弁当を食べましょう。あなたはどのあたりで、弁当の包みをほどくでしょうか?新橋、浜松町のあたり?まだまだ林立するビル、その隙間に霞が関ビルや東京タワーが見える?…ほう、都心で召し上がるあなた。ずいぶんお早いですねえ。
私の場合、多摩川の鉄橋を渡るあたりですね。都心部の「オンの東京」を出て、品川区、大田区の住宅が混じるあたり「オフの東京」も出たあと。つまり「東京を脱ぎ捨てた!」というタイミング。仕事にしろ旅行にしろ、日常が後方に消え去ったときがそのときです。写真のあたり、車中の私は「切り替え」モードになっているハズです。その瞬間に念押しをするのが、車中で広げるお弁当♪
最近は「駅弁」ではなくデパ地下で仕入れることが多いお弁当。脱ぎ捨てた東京なのに、包みのなかは「よそゆきの東京」の、ちょっと非・日常の匂い。ああ、その瞬間が東海道新幹線のいいところ、なのであります。ま、だいたいは小田原の手前で食べ終わって、熱海では「睡眠」に入るのが定番。儀式的なれど、本能の赴くままなのが恥ずかしいところ。皆様、車中でその儀式を進行する私を見ても、放っておいてください。