#237「回転・みたび」
日本テレビから5分ほど歩いた汐留の「イタリア街」の真ん中は、三角形の公園になっています。公園といっても、大がかりな植栽や遊具があるわけではなく、石畳とベンチ、それに周囲を巡る歩道沿いに街路樹があるだけ。まさにイタリアなどヨーロッパに見受けられる、街の中心となる「広場」というのがより適切でしょう。日本古来の庭園とも、いわゆる都市部の公園とも違う、いい雰囲気です。
この公園、足を踏み入れると気づくのが、円く石で縁取られた一角。これも「ターンテーブル」の遺構なんですって。ご存じのとおり、汐留にはかつて旧新橋駅があったわけですが、その中には機関車の向きを変えるためのターンテーブルもあったと。当時は言うまでもなく、機関車といえばすなわち蒸気機関車ですから、今の機関車と違い両側に運転台がありません。大正3年前後までぐるぐると方向転換に使用されていたそうです。その基礎石を再利用してモニュメントとしたわけですね。
乗りものの世界は「向きを変える」ことがよくあるわけですな。しかし当コラムは今後も向きを変えることなく、このまままっすぐ進行を続けてまいります。今後もお付き合いくだされ。