#232「実演」
なぜ、電車内の放送は鼻にかかった独特の声に聞こえるのでしょう。「ぇ次はぁ、新橋、しんばしぃ」のようなちょっとした節回しも他では聞かれません。最近はごくふつうの話し方でのアナウンスも増えつつある、気がしますが。お笑いトリオの「ななめ45°」の岡安さんがよくまねする車掌の口調というのは、まさに私の耳にしみついている、「独特の車掌口調」そのものであります。
で、私もやってみました。場所は東京・千駄木にある「せとうち」。その存在はJR東海の広報の方から教えてはもらっていたのですが、訪ねたのは初めて。中に入って、というより店の前まで来てびっくり。ひゃぁ。ところ狭しとさまざまな鉄道グッズで埋め尽くされています。何せシートは新幹線などの廃品。ランチョンマットには旧い鉄道地図がプリントされ、BGMは列車の走行音…。とまぁ、鉄道ファンは食べたり飲んだりするほかに、チェックすることがたくさんあるのです。(忘れる前に書きますが、料理は美味でした。とても上質な家庭料理、という感じ)
この日はわれわれのほかにお客さんのいない日でありまして。促されるままに車内放送の機器を使って私も例の声色と口調で「にわか車掌」に。…「ぇ本日もぉ、JR東海をご利用いただきまして、まことにありがとうございます。この列車はぁ…(けっこう続く)」。衝立の奥、みんなの見えないところから私の声がスピーカーに乗って響きます。「いよおッツ!名調子!」と盛り上がる「乗客」の声…。元車掌さんも居るというのに、ホント失礼いたしました。満足いたしました。