#233「回転」
漫画家のいしかわじゅんさんからメールが届きました。「取材でサンフランシスコに出かけた折に、ちょっとだけ時間ができたので、雨のなか街歩きをした」とのこと。その折に撮影した、かの街の代名詞ともいうべき「ケーブルカー」の写真を添付してくださいました。
とんでもない急な坂を行き来するケーブルカーは、運転台が片方にしかない構造上、終点に着くと、ターンテーブルの上ぐるりと方向を180度反転します。その作業が、じつは「手押し」というのが味なところですよね。いしかわさんもその作業を意外な発見として写真におさめたようです。
しかし、メールをいただいた週末に自宅で古いアルバムを手繰ってみると、「あ、やっぱり!」と今度は私が驚きました。おんなじようにおじさんが車両をよいしょと回転させている写真があったのです。日付は1988年の7月30日。撮影者はほかならぬ私であります。ホームステイでイリノイ州に向かう途中立ち寄ったサンフランシスコでの1枚でした。いやぁ…やはり乗りもの好きは同じような興味をもつというべきか。
ところでいしかわさんからの写真を見ると、この車両は当時とまったくといっていいほど変わっていません。21年前の時点ですでに完全なオールドファッションでしたが…。日本では考えられませんが、それこそまさに「アイコン」。変えないことに価値があるのですね。
自分のアルバム、ほかの写真を見ると高校生の私がいます。今見るとやっぱり子供ですね。基本は一緒でも、21年を経てまるっきり変わってしまいました。ケーブルカーとは大違い…。