#227「旅情」
小さな路面電車と終着駅。乗りもノート特派員のMさんが撮影した写真です。大阪・ミナミと堺を結ぶ、阪堺電車。ここは2つある路線のうち、阪堺線の終点、恵美須町です。少々歩くとそこにはナニワのシンボル、通天閣がそびえたつロケーション。庶民的で美味しい飲食店や商店がひしめき合う「ジャンジャン横丁」もすぐ。そして停留所から大通りを渡るとまもなく、商売繁盛の神様として知られる、今宮戎神社が。この神社ではついこないだ、1月10日は「十日戎」ということで、景気回復、商売繁盛を願う何万人もの参拝客で賑わったようです。活気あふれる大阪の空気を吸い込むにはうってつけの街ですね。
こういう小さな電車からどっと乗客が降りてくる光景、いいですよね。地元の皆さんにとってはまさに「ゲタ代わり」の乗りもの。「乗客全員が観光客」であろう、ちょっとした山頂へ上るケーブルカーやロープウェーとは違います。低いホームの端に見える詰め所や道具類も、よく手入れされた普段着の匂いがします。長い時間にわたって刻まれてきた「日常」があるからこそ、遠方からの旅行者はより強い旅情を覚えるのでありましょう。そんな旅情を喚起する、秀逸な構図の一枚です。