#183「窓無し」
またも窓のない席に当たってしまいました。ボーイング747-400の2階席です。座席番号は71の列。乗り込む時点で「もしや…」と危惧していたのですが、案の定。
いざ腰を下ろしてみると、もはや気持ちイイぐらい、「囲まれ感」に圧倒されます。目の前は、壁。横を向いても、壁。反対側の横を無いても、同様に、壁。もっとも、朝ものすごく早い時間のフライトでありましたから、離陸する頃には上手に「夢の世界」へテイクオフ。耳にイヤホンを入れまして、落語にチャンネルを合わせていたのですが、ほとんど噺を聞くこともないままに、眠りに落ちました。我ながらたいへんなスピードです。
ただひとつだけ、この席に座るメリットも。すぐ目の前がコックピットの入り口。先日シミュレーターにて実際にくぐった、あのドアです。この日のフライトでは、乗客への飲み物のサービスが終わったところで、コックピットへも飲み物が届けられました。一瞬だけ開け閉めされる頑丈な扉。その一瞬に、中の様子がわかります。なまじ操縦シミュレーションを体験しただけに、機長や副操縦士の「一服」には今まで以上に寛容になった私。ちらりと見える後ろ姿に向かって「着陸までどうぞよろしく」と、心のなかで呼びかけたのでありました。
でもね、やっぱり地上のようすが見え始めるころには、ちょっと外の様子を窓から窺ってみたいものであります。若干無理をして首を斜め後ろに向け、後席のお客さんに気を配りながら、後方の窓を垣間見る…。なぜそこまで、と言われたら困りますが、そこまでしちゃうのが乗りもの好きの性分、なのです。