#104「こだわり」
趣味の道というのは、大なり小なりの「こだわり」を伴います。例えば。習い事を初めたと考えてみましょう。最初のうちは教室で勧められる初心者用の道具を使うのが普通です。ところが長じてくると、道具にこだわりはじめます。いわれのある逸品を手にして悦に入る。ここぞというときに使う特別なものを用意する。という塩梅です。
「乗りもの」の道は、「こだわり」の宝庫です。乗るにしても手に入れるにしても、眺めるにしても…。他とは違う何かに目が向いてしまうのです。たとえそれが、他人から見て「意味不明」であっても。
我らがリアルタイムのディレクターM君の場合。M君一家は東急田園都市線の沿線に住んでいるのですが、3歳の息子さんには強いこだわりがあるようで。電車に乗ると言えば「半蔵門線の車両じゃなきゃイヤ!」なんだそうです。説明しましょう。東急田園都市線は東京メトロ半蔵門線、東武伊勢崎線との相互乗り入れをしています。3社の車両が同じ線路の上を行き交うわけです。
写真はその「半蔵門線」の車両。でもホームに待っていると自分の乗る電車がどの社の車両かは、来てみるまで分かりません(マニアを除く)。M君のぼっちゃんは、赤い帯の東急の車両や前面がオレンジ色の東武の車両が来ると、「ちがう!コレじゃないっ!」とワンワン泣き叫び、頑として乗ろうとしないそうです。(ちなみに南武線も好きらしい。ツウ好みです)。急ぎの用事で急行に乗ろうとしたときに、こうやって駄々をこねたら大変ですよねー。でも乗りもの好きにはよーく理解できます。「お、この新幹線は試作バージョンか」「きょうの飛行機は国際線仕様を使ってる。ラッキー」などなど…。
しかし考えようによっては「こだわり」の芽生えは趣味の芽生え。いずれこの「乗りもノート」を引き継ぐことが出来るかもしれません。若者や子どもたちの「乗りもの趣味」は衰退との声もちらほら聞かれる昨今。M君がどう辛抱強く令息を育て上げるのか。期待しております!