#093 「モノ」
「物」ではありません。「モノ=mono=単一の-」です。43年前の9月17日(この原稿を書いている日です)に、羽田空港へ向かう東京モノレールが開業しました。路線図だけを見るといわゆる「盲腸線(=行き止まりになっている線路。ローカル線に多い)」ですが、これほど全国の方々が利用する盲腸線も無いと思います。ひとえに空港の存在によります。
17日には、日テレニュース24の「蔵出しニュース」という、旧いニュース映像を引っ張り出して振り返るコーナーで、モノレール開業を取り上げていました。モノクロの映像には、丸みを帯びた初代の車両が行き交います。ニッポンの高度成長を雄弁に物語っていました。もっとも、東京オリンピック直前ですからね。オリンピックの開幕に間に合わせようと頑張ったのは何も東海道新幹線や首都高速道路だけではありません。
その「蔵出しニュース」の中で、「モノレールが運河の上を進むのは、用地買収の手間を省くため」という説明がありました。なるほど。でもお陰で40年以上が経ったいまも、モノレールからの眺めは変わりようがない部分が残っているわけです。水の上にはビルが建ちませんからね。
飛行機に乗る用事って、出張以外であればけっこう重めのことが多いですよね。そんなとき、水の景色を眺めながら、皆さまどんなことを考えますか?
運河の上をゆくレールは一本(=モノ)ですが、その時々に自分の置かれた状況によって、水や空の色はとりどりに変わって見えるのではないでしょうか。こちらは到底「モノ」とはいえませんよね。