#083 「さじ加減」

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 新しいスタイリッシュな
 路線バス。
 その屋根には薄っぺらい
 箱が乗っています。
 エアコンです。



 私たちが子どもの頃、バスにクーラーなんぞ付いてはいませんでした。上と下、双方から開く窓を全開にして、スピードに任せて吹き抜ける風だけで涼を感じていたものです。

 そしてドライバーはというと。右横の窓を開けるのはもちろんですが、ハンドルの付け根あたりに、バコッと外向きにひさしのように開く扉(教科書ぐらいのサイズでしたか)がありました。そこからまさにダイレクト。真っ正面からの風を足元に流し込んでいました。ハタから見ていると、靴を脱いで、あの扉のふちに足を載っけて走ったら、スースーして気持ちいいだろうなと、子どもながらに思ったものです。

 ま、そういう旧景はめっきり見られなくなりましたね。この時期、東京のバスはばっちり冷房が効いています。お陰で、「遅刻寸前、駅まで走らなきゃ!」というとき折良くバスが来ると、乗った瞬間の涼しさにトクした気分が倍増です。あと贅沢を言うとすれば、「さじ加減」でしょうかね。私は不満を覚えたことはあまりありませんが、冷え性の方にとってバスの冷房は「部屋がひとつ」だけに逃げ場がありません。「弱冷房席」みたいな芸当は構造上、無理です。まだまだ暑さは続きそう。冷房が苦手な方には外でも中でも、辛抱の季節でもあるのですね。


2016年8月

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プロフィール

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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このブログ記事について

このページは、近野 宏明(こんの ひろあき)が2007年8月17日 00:00に書いたブログ記事です。

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