#038 「看板」
乗りもののあるところ、「看板」はつきものです。「あっちへ行くと**がある」「このホームは××だ」…基本的には「お客さん本位」の文言が簡潔に記されるものです。基本的には。
しかしこの案内板を見てください。「のりかえ バス・地下鉄」です。これは札幌駅のホーム頭上にあるもの。この案内板を目にしたとき、思わずううむと唸ってしまいました。道内最大のターミナル。そりゃ「バス・地下鉄」の乗り換え駅だということは自明の理だって。ねえ。そんな基本情報を大きく記す…きめ細かいといえばきめ細かい。だけどお客さんが本当にほしい、具体的な情報には届かない。なかなか大胆な味のあるフレーズです。
そしてもう一つ。この看板です。
山形県・蔵王のロープウエー。古式ゆかしい銀色のゴンドラの発着場には、これまたグッとくる簡潔な一言が。「臆測やめよ 確認せよ」。重みがありますよねえ。宙をゆく乗りものですから「臆測」にもとづく「未確認」な運行はありえません。係員を戒める看板。書体も筆字で、これがまたよし。しかしこのフレーズは、結構応用がききます。私たち放送の仕事もそのものズバリ!その意味で、この看板は意外にお客さん向けの警句にもなっている、そんな「複式看板」とも言えましょう。