#036 「トンネル」
トンネルの出口。地下を走ってきた電車の地上への出口です。鉄道好きの私ではありますが、今ひとつ分からないコトがあります。それが「地下鉄運転のメンタリティ」。
電車の運転士を目指す者であれば、風光明媚な自然や、ビルの立ち並ぶ都市空間、そんなものを目にしながら、爽やかに風を切って運転したいと思うのが一般的でしょう。車しか運転しない私だって、そう思います。乗客と同様、運転士も流れる景色を楽しみたいハズだと。
問題は地下鉄です。ずっと真っ暗です。当たり前ですが。あれは順調に走っていても、車窓がつまらないと思うのです。いわんやトンネルの中で停止したら…。
麹町の社屋に通っていた頃、私の乗る地下鉄はラッシュアワーによく停止しました。先に先行電車が詰まっているのです。相当ブルー。しかも身体は押し合ってようやく乗り込んだ大混雑の車両の中。すすけたコンクリートの壁がまったく動かない様子を見ていると、息が詰まりそうになります。ううう、胸が苦しい。息継ぎしたい。自転車の様なスピードでようやく次の駅にたどり着き、ドアが開く…。
新鮮な空気がようやく車内に流れ込むと、心底、息継ぎした気持ちになったものです。あの路線は今もそんな混雑が解消されていないハズですが…乗客の皆さまにお見舞い申し上げます。
そんな欲求不満とストレスを乗せて、ラッシュアワーの地下鉄は行くのです。駅ホームのわずかな灯りを目指して。そんな地下鉄の運行を預かる運転士のメンタリティ。謎に迫る(?)考察は、次回にて。