#029 「衝撃のアナウンス (2)」
車内アナウンス問題、三度目の論考です。これは記者として取材に行くときのこと。その日は、とある人に事前取材をすべく、電車でひとり移動していました。日本テレビ(麹町社屋)に近い四谷駅からの中央線(下り)です。
生憎の雨模様だったのですね。その日は。ホームも電車もしっとりと濡れていました。で、四谷を発車するなりアナウンス。「ドアが閉まり掛けての駆け込み乗車は大変危険です。思いがけず、…すってんころりん!…っという恐れもあります。ホームが濡れていますので…」ときました。しかも「すってんころりん!」の部分だけは、何というか「劇画調」といいましょうか。やたら真に迫る語り口。
何だ今のは!と思っていると新宿が近づきます。するとこの車掌、型どおりの乗り換え案内などをしたあとに「本日は雨のため傘の忘れ物が大変多くなっております。電車を降りてから、…しまッたぁーッ!…と思うことのございませんよう…」。またも来ました。こんどは超劇画調。「しまッたぁーッ」の前後に一瞬の間を設けるのが、ポイントです。というか、あまりに迫真の「しまッたぁーッ」ゆえに、前後をぼんやり聞いていた人にとっては「なんだ??」とドキッとするぐらい。
あの車掌さんは、いつもそういう感じなのでしょうか。演劇や声優の経験があるのか、あるいは単なる気まぐれなのか。疑問は今も氷解しておりません。