#028 「衝撃のアナウンス (1)」
車内アナウンス問題、再びの論考です。今回は発声法ではなく、内容について。学生の頃、山手線外回りに乗っていたときのこと。原宿を出た電車内に響くアナウンス。「つぎはぁ…新宿、新宿です」
ん??次は代々木じゃないのかな。そう思う内にも電車は代々木のホームに滑り込みます。何事もなく発車した電車。次は新宿。車両がマイクを手にして車内放送のスイッチがONになったことが、スピーカーの気配で分かります。そして衝撃のアナウンス。
「次も…新宿、新宿ぅです」
なんだそりゃ?車内に乗り合わせた皆さんも、呆気にとられています。「次も、って言ったよね?」とヒソヒソ…連れと顔を見合わせる女性、私の前に立っていた若いおにいさん(当時は私もそうでしたが)は、「ぷっ」と肩で笑いました。
そうしているうちに電車はホンモノの新宿駅に。どっとホームに降りてゆく乗客。きっとホームで待っていた人たちの目には、妙にニヤニヤした、妙に和やかな集団に見えたことでしょう。衝撃のアナウンスも、思いがけずほんわかした空気をもたらしたとすれば、悪くないかも、と思い直しました。