#027 「アナウンス」
最初にお断りいたします。私は「アナウンサー」ではありません。もともとは報道局の記者です。ゆえに、アナウンス技術うんぬんを語れる立場は無いのです。そんな私が、この場で論じるのは正真正銘の「アナウンス」。はい。乗りものの中でのアナウンスです。これならいいでしょう、いいことにします。
電車内のアナウンスですが、皆さん気になりませんか? あの「声質」が。なぜ、おしなべてあの無機的な、平べったい、口先だけで出す、独特の声になっていくのかが。文字で説明するのは非常に困難なので、ちょっと声に出してみます。
「まもなくぅ…え、新橋、新橋ぃです」。という声です…(やっぱり無理だ。私の声マネを聞きに来て欲しい)。あれ、絶対地声じゃないですよね。あれが地声だったらたいへん。「ちょっとぉ、お醤油、とってくださいぃ」みたいな何気ない一言が、ものすごく何気あるフレーズに転化します。
あの「車掌話法」って、どこかで必ず習得するものなんでしょうか?あるいは、あのしゃべり方・声質だとマイクに乗りやすく、車内で聞き取りやすいとか。私の乗る限り、「まろやか」「ソフト」「腹から出ている」といった車内アナウンスの声は殆ど聞いたコトがありません。どこかにテノール歌手・秋川雅史さんのようなアナウンスを聞かせる車掌はいるのか。広い日本、ひょっとしたらいるかも知れませんが…。