#010 「通勤電車の座りかた その3 ~悲劇~」

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 さらに続きです。自分の縄張りを侵されたくないという動物的本能に基づき、激しい「端っこ席争奪」で見事に安住の地、栄光の「端っこの席」を得たとしても、危険は潜んでいます。

 その元凶(?)は写真に示したような「仕切りの棒」です。乗降ドアの一角と座席との仕切りは、通常こういうスチールの棒で区切られています。で、端の席を得た人は、見知らぬ他人と並んで座るのは片側だけ。端はこの仕切りですから、そっち側にもたれて束の間の休息を貪るわけです。

 私が悲劇に遭遇したのもそんなときでした。時刻は終電近く。酩酊したお父さん(推定50歳)が、ドア脇でこの「仕切りの棒」に背中を預けてゆらゆらしていたのです。ま、仕切りの向こう側ゆえ、お父さん(推定50歳)が体を動かそうとも私には無関係です。しかし、悲劇はその油断を襲うもの。「体揺さぶり攻撃」の流れに乗って、お父さん(推定50歳)は「ガス攻撃」を決行したのです(たぶん無意識下の攻撃ですが)。こうなると「仕切り棒」は何の効果ももちません。網棚の網でコーヒーをドリップするのと同じように、そのものずばりの「推定50歳を源とする気体」が、「栄光の端っこ席」を包みました。一日の疲れに加えて、そんな攻撃にさらされた私。悲劇です。

以来、端の席には注意を向けています。皆さまもどうかご注意を。…近年は仕切りが「仕切り板」になった車両が増えました。これは安心。体を斜めに預ける際の「頼り甲斐」もありますしね。

2016年8月

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プロフィール

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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このブログ記事について

このページは、近野 宏明(こんの ひろあき)が2006年12月11日 21:28に書いたブログ記事です。

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