#009 「通勤電車の座りかた その2」

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 前回の続きです。鉄道各社も「定員着席」への向け、それなりの努力はしているのは良く知られた(?)ところです。7人が並んで座るタイプのイスに番号を振ったとして、両端→真ん中という「1&7→4」の順に座った後、いかに2、3,5,6の各席にきちんと座らせるか、と言う問題です。
 写真のミニ肘掛けはその一環でしょう。3番と4番の間にあって、全体を3人&4人に分ける、あれです。成人が使う肘掛けとしては小ぶりで低すぎなので、肘掛け本来の役目よりも、定員着席のための手段という色合いがじつに濃い。3人パートのほうはまず間違いなく3人が座っています。あの頼りない板がたった1枚あるだけで、3番と4番はかなり密着して(=つまり適正な位置に)座るのです。じつに不思議ですね。
あとは4人パートのほうがきっちり4人座るかという問題ですよ。この仕切りがあるがゆえに、4番に座った人が中途半端にズレにくい。ズレなければ、まず大丈夫。4人が座って計7人。よかった…(←何に対しての「よかった」なのか自分でも不明)。同様に、3人&4人に分ける位置に、網棚から座面にかけての握り棒がある、という車両もあります。これは混雑時に握る部分が増えるので、一石二鳥ですね。
 ひとえに「見知らぬ隣人とは距離をとりたい」という人間の基本的欲求から始まる着席の習性。縄張りを侵されたくないという動物的本能といって良いでしょう。その本能のまま、きょうも厳しい争奪戦の果てに、端っこの席を得たあなた!世の中思いがけぬところに落とし穴は待っているのです。それは次回に。

2016年8月

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近野 宏明
(こんの ひろあき)

現在、ワシントン特派員。鉄道、自動車、航空機などの乗りもの・交通全般に詳しい。

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このブログ記事について

このページは、近野 宏明(こんの ひろあき)が2006年12月 8日 19:02に書いたブログ記事です。

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