★小倉沙耶レポート★
えちぜん鉄道に乗って、かっちゃまのさぎっちょまつりへ!
「さぎちょうまつり?」
勝山に詳しい知人からその言葉を聞いた時、頭の中で漢字変換ができませんでした。
左義長とは、小正月に行われる火祭りの行事のことで、どんと焼きと呼ぶ地域もあります(私はこちらの方が馴染み深いです)。
勝山の左義長まつりは300年以上の歴史を持ち、福井県の無形民俗文化財に指定されているとのこと。
「一年で一番賑わうお祭りなんです。えちぜん鉄道もヘッドマークを掲げますし、行くならこの時期がオススメですよ!」
そう言われたら、とっても気になってしまった私。
久々に、えちぜん鉄道さんへ行ってきました!
えちぜん鉄道さんは、2002年に誕生した第三セクター鉄道です。
前身である京福電気鉄道が2度の衝突事故を起こし、路線の廃止届けを提出。沿線自治体は第三セクター鉄道として存続させることを決め、2003年2月に路線を譲り受けて、同8月に三国芦原線、10月に勝山永平寺線が営業を開始しました。
今回は2日間福井に滞在することになっていたので、初日はえちぜん鉄道の2路線のうち、日本海方面に向かって延びる三国芦原線を楽しむことにしました。
列車に乗り込もうとすると、ベンチに何やら人影が・・・
人影じゃなくて「竜影」ですね(^-^;)
勝山永平寺線の終着駅勝山は、日本最大の恐竜化石の産出地であることから、玄関口である福井駅にモニュメントが置かれています。
土日祝日と年末年始に使える1日フリーきっぷ(大人800円/小人400円)を購入して列車に乗り込み、いざ出発!
勝山方面との分岐駅である福井口駅では、2009年に使用開始された新しい車両基地の姿も見られました。
私が知っているのは、木造の味のある車両基地だったので、雰囲気の違いに驚きです。
私は、古レールや鉄道橋梁・トンネルなどの鉄道構造物ファンでもあります。
西長田駅の、ホーム上屋を支える柱に使われている古レールが気になったので、途中下車してみました。
古レールも素敵だったのですが、何よりも印象的だったのが、こちらの時刻表。
利用する方が分かりやすいように、書き込みがされています。
西長田駅に限らず、車内や駅の様々な場所でえちぜん鉄道の職員さんによるあたたかみを感じることができました。
再び列車に乗り込み、終点の三国港駅へ到着!
到着直前にくぐった橋が気になったので福井側へ歩いていくと、存在感たっぷりに構えていたのは、「ねじりまんぽ」という工法で作られた美しい煉瓦橋「眼鏡橋」。
ねじりまんぽはその名の通り、アーチ部分の煉瓦が斜めに積まれ、ねじれたように見えるのが特徴です。
この橋は大正二年に建造され、2004年には国の登録有形文化財にも指定されたそう。
3月13日に落成した、大正浪漫薫る三国港駅舎と合わせて、皆さんも是非ご覧になってみてくださいね。
翌日。いよいよ左義長まつりが行われている勝山へ向かいます。
その前に、一度ゆっくり訪れてみたかった、永平寺口駅で下車しました。
京福電鉄時代は、ここから永平寺方面へ向かう路線・永平寺線が延びていました。
2002年に全線運行休止となった後、他の2線はえちぜん鉄道へ譲渡されましたが、永平寺線はそのまま廃止。
錆び付いたバス乗り場の案内板に、京福電鉄時代の駅名・東古市駅の名残を見ることができました。
京福電気鉄道の前身である、京都電燈越前電気鉄道の開業時に建てられた駅舎。大正3年に建てられた立派なものです。
懸魚には社紋も入っています。
さあ、勝山駅に到着です!
列車を降りると目に入ったのが、改札の手前、足元にあったこの表示。
「かっちゃま」というのは、勝山のことで、地元の方はこう呼ぶのだそうです。
駅の待合室には、かつて使用されていた駅の備品や京福時代の路線案内図等が飾られたコーナーの他、お子さんにも嬉しいこんなものが。
えちぜん鉄道の職員になれる、等身大パネルです!帽子は、駅員さんに言えば貸していただけます。
隣にはアテンダントさんのパネルもあり、老若男女写真を撮っていました。
勝山駅には、鉄道ファン必見の車両も鎮座しています。
電気機関車「テキ6」と無蓋貨車「ト68」です。
かつて繊維輸送に使われたこの車両は、これから整備される勝山駅前広場内の休憩施設にて、産業遺産として動態保存される予定です。
施設の完成目標は2012年度とのこと。その日が待ち遠しいですね!
九頭竜川を渡ると、町は急に活気を帯びてきました。
メインストリート・本町通り商店街に到着すると、人・人・人!!
私の驚いた顔に、地元の方も
「町の中にこんなに人がいるのはさぎっちょ(左義長)の時くらいだよ」
と笑いながら話してくださいました。
町のいたるところには櫓が立ち、左義長ばやしが演奏されていました。
櫓に吊るされているのは、時事ネタの川柳が絵とともに描かれた「絵行燈」。政治や芸能など、皮肉もちょっと込めたユーモアあふれる作品に、皆見入っていました。
この日は地元の酒蔵、一本義久保本店さんによる酒蔵まつりというイベントも開催されていました。
蔵の中に入ると、あれ?久しぶり!
杜氏姿の恐竜が出迎えてくれました。さすが勝山!
日本酒はもとより、唐辛子と共に漬け込んだ甘くて辛い梅酒やお漬物など、あまりに魅力的な商品がいっぱいで、蔵を出るときには大荷物になっていました(笑)。
ほろ酔い気分で勝山駅に戻り、列車に乗り込むと
「お疲れ様でした。楽しかったですか?」
と、アテンダントさんの笑顔。
一人一人に声をかけるその優しさに、思わず
「凄く楽しかったです!またかっちゃまに来ますね」
と言う私が居たのでした。
鉄道アーティスト 小倉沙耶レポート
小倉沙耶のやわやわ日和