鉄道アーティスト★小倉沙耶レポート★
貨物鉄道博物館と三岐鉄道三岐線
<<前回までのおはなし
軽便鉄道博物館訪問の後、向かった「あそこ」とは・・・
私の大好きな貨車が展示されている「貨物鉄道博物館」です!
軽便鉄道博物館から貨物鉄道博物館へは 徒歩で約30分ほど。
天気のいい日にお散歩気分で歩けば、
平坦で眺めの良い道なのであっという間に着きますよ。
貨物鉄道博物館は、三岐鉄道三岐線の丹生川駅に隣接。
タンク車や木造の無蓋車など、務めを終えて除籍された貨車が、
博物館の建物を囲むかのように並んでいます。
開館は毎月第一日曜日ですが、貨車の姿はいつでも見ることができます。
開館日には実際に触れながら、
今ではなかなか見ることができなくなってしまった貴重な貨車を隅々から
見て・触れて・学べるというこの施設は、子供達の興味しんしんな瞳であふれていました。
「いーち、にーい、さーん、しーい・・・」
男の子が一生懸命数を数えているのは、シキ160の車軸の数。
シキとは「大物車」のことで、その名の通り、通常の貨物車両では運べない、
大きく重い貨物(シキ160で運ぶのは変圧器です)を輸送するために作られました。
大きさもかなりのものですが、レールにかかる負荷を軽減するため、車軸が多いのも特徴です。
シキ160の車軸は、なんと12!
私も初めて訪れた時には、その迫力に驚き、
さらになかなかカメラのフレームに収まらず苦労しました・・・。
「ガイコツになってるー!」
そんな声が聞こえて振り返った先に見えたのはワ11形11号。
木でできた外板が劣化し、張り替える作業中のようです。
こちらは、先に お色直しが完成 したワ1形ワ5490。
以前私が訪れた時には、こちらが「ガイコツ」になっていました。
その時は、剥がした木の外板を使って焼き芋を作っていたんですよ。
「ワ 5490でできた焼き芋」 という売り文句がとっても印象的でした。
私が一番大好きな、タンク貨車 と記念撮影!
タム500形2920号という、15トン積みのガソリンタンク車です。
現在見かけるタンク貨車は40トン以上積むことができるものが主流ですので、
その小ささは現在では希少かつ可愛らしくもあります。
屋内には、貨車にまつわる資料等が展示されています。
貨車についている記号の説明も、ユーモアを交えながら分かりやすく説明されているので、
お父さんが子供さんに説明する姿が見られました。
「でも、止まってる貨車だけじゃつまんない・・・」
そんな心配も、ここなら無用です。
「うわっ!すごい音ー!」
電気機関車が満載の貨車を牽引する音に、皆びっくり!
丹生川駅の先にある西藤原駅からは、
藤原岳から産出する石灰石(セメント原料)の輸送が三岐線を使って行われているため、
博物館のすぐ 隣で大編成の貨物列車が走る のも、貨物鉄道博物館のポイントの一つ。
貨物列車による輸送を取りやめ、トラック輸送に切り換える企業もある中、
こうして元気に動いている様子を見ることができるのは嬉しいですね。
陽が傾いてきました。
貨物鉄道博物館にお別れし、三岐線に乗りましょう。
丹生川駅の窓口の女性に手渡されたのは、硬券でした。
磁気券の切符が多い中、硬券を見るとそれだけで旅情が高まります。
三岐鉄道では、近鉄との乗り換え駅である近鉄富田駅以外の全ての駅で
「サイクルパス」という、自転車をそのまま持ち込むことができる列車を走らせています。
大矢知駅から三里駅までは土日祝日の全ての列車と春・夏・冬休み期間の日中、
三里駅から西藤原駅までは毎日どの時間でも無料で自転車と共に電車に乗り込むことが可能です。
そして、パークアンドライド(自宅から駅まで自家用車を利用し、駅から列車を利用して目的地へ向かうシステム)
可能な駅も多いのも三岐線の特徴。車や自転車は便利。
だから太刀打ちできない・・・ではなく、
手をとりあって互いを補う取り組みが実を結び、旅客運賃収入も緩やかに上昇しています。
手をとりあうといえば、10月からは三岐線・そして前回レポートした
北勢線が乗り放題になる「三岐鉄道1日乗り放題パス」が発売になりました。
線路では繋がっていませんが、兄弟となった路線。
協力し合って頑張る姿、そして各々の路線で魅力発信する
博物館の姿を「三岐鉄道1日乗り放題パス」を使って、皆さんもぜひ見に来てくださいね。
鉄道アーティスト 小倉沙耶レポート
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