#382「轍」
乗り物がスムーズに動く為には、ふつう、車輪が踏みしめる接地面をがっちり固めてスムーズにすることが必要です。鉄道のレールはその極みみたいなもので、あれだけ硬い鉄の上を硬い車輪が回るからこそ、滑らかに進むわけです。そのぶん停めるのは大変でもありますが。
誰もが行き交うことにより、結果としてレールのようになめらかな道のりができる、というのがきょうの写真です。京都御所のなかは舗装されず、細かい砂利が敷き詰められていますが、その敷地を突っ切ってゆく自転車は、見ていると大概この轍の上を音もなく滑らかに進行しています。
おもしろいのは、一直線かというとそうでもなく、けっこう左右にぶれていること。最初にできた轍がそうだったことが伺えますが、所要時間に大差が生じるわけでもないので、みなさんなぞって進みます。
真夜中のうちに誰かが定規で線を引いたように、真っ直ぐな轍を引き直したら、毎日通過するひとはどう感じるのでしょうか。意外や、あまりにまっすぐだと走りづらいものでしょうか。