#181「やわらかアタマ」
トヨタが新しい乗り物「ウィングレット」を発表しました。二輪のゴムタイヤの上に、小さな足乗せ。真ん中にバッテリー。最高時速は6キロと、ちょっと早歩き、という早さです。
不思議でしょう?運動オンチの私でもふらつくこと無く、安定して直立、スムースに動きます。足の指の付け根あたりにちょっと意識を集中すると、スーッと前進。何となく後ろの方に意識を向けると後進します。左右へ曲がるのも体重移動、ちょうどスキーの要領です(…って雪国生まれのくせにロクに滑れない私では説得力が乏しいのですが)。センサーと姿勢を制御する仕組みの賜物です。乗り方の基本は一緒なのですが、前部に手を添えるT字形バーのあるタイプ、膝丈の短いバーがあるタイプ、そしてほとんどバーが無いタイプの3バリエーションがあります。
坂道もスイスイ。20°の勾配も安定して上り下り。まったく怖さはありませんでした。もちろん途中で停まったり、戻ったりも意のままです。
凸凹道もクリアしましたので、これは完成度が高いと太鼓判を捺すしかありません。
とくにT字形のバーが有るタイプは、中高年でもより安心して乗れるのが特徴。実際には両手を離して乗っても大丈夫という安定感がありますからね。バーが短くなるほど、スポーツ感が高まります。スケボーやインラインスケートのように、これを使った競技もやれそうな感覚です。
開発チーム曰く、「中で外で、移動することの愉しさ」を追求したそうです。持ち運びも容易なので、将来的には駅まで「ウィングレット」、電車に持ち込んで降りたらまた「ウィングレット」という使い方も考えられます。また、これまで例えば半径1キロだった徒歩圏が2キロに、3キロに拡がる可能性もあります。車に積んで郊外へ出かけ、自然豊かな遊歩道をコレで静かに楽しむ…なんて使い方もできそうますね。あなたはどう使いますかと言われたら…アタマのやわらかさが試されそう。使い道についてはきっと開発者も思いつかないアイディアが出てくるのでしょう。
ま、当面は、広い空港のターミナル間の移動、ショッピングモールや工場などでの活用、など閉じられた空間での利用が主に考えられています。しかしそれだけではもったいない!もし公共交通が乏しい地域で使えたら、お年寄りももっと市街地に出ていけます。サイズが小さく携帯できるので、都市部では駅前の放置自転車も一掃できそうです。それにはとにかく「公道での使用」が法的に認められることが必要。国土交通省や警察など、お上のかたいアタマをぜひやわらかくしていただきたい。夢の膨らむ乗りものでした。