#174「試乗会 2」
完全にうっとりしています。発売されたばかりのクルマの中、助手席です。ノラ・ジョーンズの歌声に聴き惚れています。純正のカーオーディオでこういういい音が楽しめるのか…と。
試乗会場のイベントホールでは、普段なかなか知ることのない、クルマの内装の開発にかかわる展示&説明がおこなわれていました。
驚いたのは、車内の多くの部品にプラスチックや樹脂がつかわれていること。しかもそのプラスチックがまったくプラスチックに見えないところであります。一見すると艶消しアルミのようなドアノブも、半袖のポロシャツから出た腕が気持ちよく当たるスエードのようなひじ掛けも、皮革のような柔らかみのある質感を出したドアの内張りも、みんなプラスチック。小学生のころ使った歯磨きのコップや絵の具の筆洗などとは対極にある、「プラスチッキー」ではない上質さです。
エンジニアの話では、「人が気持ちよい、心地よいと感じるのはどういうことなのか、徹底的に研究しています」とのこと。触覚や視覚、脳の認知みたいな分野を日々研究し、そのデータをもとに新しい材料を開発しているんですね。しかもそれは定められたコストにおさめ、ユーザー任せの使用条件下で5年、10年劣化しないという耐久性を持たせなければなりません。まあ一言でいって自動車会社がそこまで研究するのか、と感じ入りました。そういう研究の成果を外部に切り売りしても相当なビジネスになるのでは?・・・と僭越ながら常務にも申し上げたぐらいです。
モノ作りの現場のお話はなんでも興味深いもの。ディレクターのO君が腕を差し入れているのは開発中のエアコンフィルターの展示。水の分子にビタミンCの分子を結合させて車内に送風すると、ありがたや。お肌の乾燥が防げるというのです。カラカラになりがちなエアコン使用時も、女性のお肌は守られるという按配です。そこまでやるのね…。五感にわたる快適さ。まとめると、「うちに居るより快適かも」という、夢のような話になってきます。で、帰宅するとやっぱり「車のほうが快適だった」という現実が…。ははは。