#023 「立ち売り」
鉄道での旅の楽しみ、「駅弁」。しかし最近は駅で買うよりもデパ地下で、という方が多いのではないでしょうか。催事の定番と言える駅弁大会は、この年末年始もあちこちの店で行われています。「リアルタイム」の特集でも木曜日に放送いたしました。
写真は、福岡県の
折尾駅のようすです。
会社の後輩が
帰省の折に撮ったもの。
ここの目玉は全国的にもファンの多い「かしわめし」。おじさんがほぼ毎日、箱を首から提げてホーム上を売り歩くそうです。
「かしわめしー」
っと声を上げて。いいですねえ。ちょっとした駅なら、「立ち売り」はどこでも見かけた光景です。しかしいまや全国でも数えるほどの駅でしか立ち売りは残っていません。
私の地元、新潟の新津駅でも、在来線の特急・急行が頻繁に行き交っていた時代は、ホームに活気が溢れていました。立ち売りのおじさんを囲む人だかりも、その活気の源のひとつ。長距離をゆく列車の縮減、コンビニやファストフードの伸長などで駅での立ち売りは、殆ど見られなくなりました。帰省するときに見る限りでは、もう何年もその姿を見ていません。駅も無粋な橋上駅舎に建て替えられ、往時の風情は風前の灯火。
短い停車時間に慌ただしくやりとりするあの何とも言えないぬくもりは、駅のホームならでは。旧さと懐かしさも、味わいを深める調味料なんですけどねえ。