★小倉沙耶レポート★南阿蘇鉄道に涼を求めて

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★小倉沙耶レポート★南阿蘇鉄道に涼を求めて

暑い・・・暑すぎる・・・

失礼、冒頭から心の叫びが出てしまいました(^-^;;)
毎日蒸し暑い日が続きますね。皆さんは夏バテなどされていませんか?
「暑くてどこにも行く気がしないよ~」
という方へ、今回は夏ならではのヒンヤリ旅のご提案です。


JR豊肥本線立野駅のホームに降り立ち、スイッチバック(急勾配を登るため、線路をZ字状に敷いて前後に進みながら高さを詰めていく登坂方式)で登っていくキハ147形気動車に別れを告げてから改札を抜けると、そこには可愛らしい赤い顔の車体がちょこん。

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南阿蘇鉄道MT-2000形です。
南阿蘇鉄道の始点、立野駅から終点の高森駅までの9駅・17.7kmの間の標高差は約200m。標高が高いところへ向かう、イコール「この時期はちょっぴり涼しいんじゃないかしら」と、期待に胸が高鳴ります。

立野駅を出発した列車は、トンネルに入ります。
視界が開けて現れたのは、見事な渓谷美
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運転士さんはこの渓谷がよく見える第一白川橋梁で列車を徐行させ、阿蘇山が織り成す自然の美しさについて車内アナウンスで教えてくださいました。
あいにくこの日は前日の雨で水が濁っていましたが、それも自然の力
圧巻の景色に魂を奪われたように呆けた顔をしているうちに、駅舎に温泉が併設された阿蘇下田城ふれあい温泉駅を経て、列車はあの駅に到着しました。
「みなみあそみずのうまれるさとはくすいこうげん駅」です。ひらがなで書くとやはり長いですね!
南阿蘇水の生まれる里白水高原駅は、日本一駅名の読み仮名が長い(22文字)ことで知られています。駅名のとおり、駅周辺には多数の水源があり、車内からはペットボトルを手にこちらに手を振るバスツアーの方が見えました。

終点、高森駅に到着!
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南阿蘇鉄道のヒンヤリ旅はこれにて終了・・・ではなく、ここからが小倉流の楽しみ方の始まり!
古い鉄道施設巡りが大好きな私は、高森駅周辺に、ずっと行ってみたい場所があったんです。


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それがここ、高森湧水トンネル公園です!
このトンネルは、旧国鉄高森線(南阿蘇鉄道高森線)と高千穂線(高千穂鉄道高千穂線)を結ぶために掘削されました。
しかし、昭和50年2月に坑内で毎分36トンという大量の出水により高森町の湧水8箇所が枯れ、住民の水道が断水する騒ぎとなったため、工事はストップとなりました。
その後、新線建設自体が廃止。残されたトンネルは現在整備され、公園となって皆の憩いの場となっています。

入場料300円を支払い、トンネルの中へ。
・・・・?!
私は一瞬身を縮めました。トンネル入口の、決して見えないあるラインを超えると、急に冷気が体を包むんです。徐々に涼しくなるのではなく、驚くほど突然に。
トンネル内は一年中摂氏17度に保たれているそうです。今の時期だからこそ一番ありがたく、そして楽しめる場所ですね(^-^)

坑内には、七夕の吹流しがいくつも飾られていました。
地元の各団体が一生懸命作ったもので、趣向を凝らしたデザインの吹流しが、優しい光を放ちながら奥まで吊られています。
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南阿蘇鉄道さん製作の吹流しを発見!
切り絵になっているのは、トロッコ列車「ゆうすげ号」を牽引する機関車、DB16です。

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こちらは、南阿蘇鉄道オリジナル焼酎の製造元でもある、山本酒造さんの吹流し。
新酒ができたことを告げる杉玉と、ほのかに照らし出されたガラス瓶が印象的。

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トンネルの一番奥には、今でも澄んだ水が滔々と流れ出ており、水神様として祭られています。
出水のため、トンネル貫通ができなかった。言葉にすれば簡単ですが、実際その場に立ってみると、人間が屈すしかなかったその威力にただただ畏怖するばかりでした。

水は、さまざまなかたちに変化をします。
人を癒すかたち・傷つけるかたち・守るかたち・・・
水神様の隣にあったのは、人を笑顔にするかたちでした。


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ウォーターパールです。
ウォーターパールとは、特殊な音波を照射する装置で球状にした水を発射し、そこにストロボライトを当てて、その周波数によって残像現象を作り、水玉が止まったりゆっくり動くように見せるものです。
・・・と、理屈は分かっても、目の前で止まっている(ように見える)水の玉を見ていると、子供のようにはしゃいでしまいます(^-^)

たっぷりの涼を得てトンネルを出ると、再び纏うのは夏の空気
「ああ、夏はまだまだこれからだ、暑いの苦手だから嫌だなぁ・・・」
と思いながら高森駅に向かうと、踏切音が鳴り、遮断機が下りました。

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やってきたのは、定期列車と連結したトロッコ列車ゆうすげ号!
去り行くトロッコを見ていたら
「夏がなかったら、トロッコの楽しみも半減しちゃうな」
と、少しだけ夏の苦手意識が飛んで行ったような気がしました。

最後に、復路の列車では
「僕は南阿蘇鉄道で一番よく喋る運転士だからね!」という運転士の寺本さんが、長陽駅の由来について車内アナウンスで丁寧に教えてくださいました。

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南阿蘇は外輪山に囲まれているために日照時間が短いのですが、西側にある立野でその外輪山が切れているため、この地域だけは長く陽が当たる・・・だから「長陽」と名づけられたのだそう。
車窓の外には、雲の切れ間から一瞬のぞいた、山に飲み込まれまいとする夏の黄色い西日が、自身の存在を主張していました。
ここにも
暑いからこそ、涼が恋しくなるのだと実感できた旅でした。


鉄道アーティスト 小倉沙耶レポート
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