2012年4月アーカイブ
乗りもののスムースな進行には、って、ほとんど前回と同じ内容かと思いますが、ハードのみならず、ソフトも重要です。ソフトの最たるものは「ルール」であります。
去年の年末、出張でインド・デリーに行った際、街ゆく車の流れにひとつの感慨を覚えました。かなりみんな、ムチャしてます。そして、そのムチャを押し通そうとするので、始終どこかでクラクションが鳴っています。とくに小さい車が大きなトラックに対して自らの存在を誇示したり、急ぐ車が追い越しをかけたりするときにはブーブー鳴らしまくり。
ムチャするなあ、とバスの中から見ていると、それはそれで効果があるようで、きわどくもスレスレのセンで互いにやりすごしています。我々の感覚に比べると、車間距離、スピード、ハンドル操作、など安全上のマージンが明らかに小さいんですけど。
モータリゼーションの黎明期って、こういう感じなんでしょうね。日本の50年前、もこんな塩梅だったのかなと思います。排ガスの匂いもふくめて。
乗り物がスムーズに動く為には、ふつう、車輪が踏みしめる接地面をがっちり固めてスムーズにすることが必要です。鉄道のレールはその極みみたいなもので、あれだけ硬い鉄の上を硬い車輪が回るからこそ、滑らかに進むわけです。そのぶん停めるのは大変でもありますが。
誰もが行き交うことにより、結果としてレールのようになめらかな道のりができる、というのがきょうの写真です。京都御所のなかは舗装されず、細かい砂利が敷き詰められていますが、その敷地を突っ切ってゆく自転車は、見ていると大概この轍の上を音もなく滑らかに進行しています。
おもしろいのは、一直線かというとそうでもなく、けっこう左右にぶれていること。最初にできた轍がそうだったことが伺えますが、所要時間に大差が生じるわけでもないので、みなさんなぞって進みます。
真夜中のうちに誰かが定規で線を引いたように、真っ直ぐな轍を引き直したら、毎日通過するひとはどう感じるのでしょうか。意外や、あまりにまっすぐだと走りづらいものでしょうか。