#321「まくら」
電車が何かを背負っています。お箸です。電車のお顔を見ると…昭和という感じがしますね。おでこに一つ円いライト、貫通扉のない平面的な正面。これは103系あたりでしょうか。左側は黄色い車体ですから、かつての総武線、という雰囲気を醸し出しています。
当コラムに何度か登場の鉄道模型バー、「銀座パノラマ」で見つけた箸置き。背負っているお箸も、よくみると電車の側面を再現したような絵柄がプリントされています。電車をかたどった「鉛筆」はよく目にしますが、お箸というのはなかなか無いですね。
この箸置き、面白いなあと思うのは、電車が自分の上に「乗っけている」こと。ホンモノの電車の場合、普段は自分の下のレールにどっしりと乗っかっている。そのレールの下には文字通りの「枕木」があるのですが、写真の箸置きは、箸置きという用途を与えられた時点で、まくらのように「乗っける側」になることを宿命づけられたわけであります。そういう倒錯もなかなか興味深い、味の有る逸品です。